なんだかわかりにくい題目でごめんなさい。
仕事、家事も含めて何かを生み出すこと。
お金だけではなくて、満足とか、生活の質とか、感謝とか、やる気だったり。
私は個人でやっているレストランがいいなと思っているのですが、その理由は作り手と食べ手がお互いに顔を見ることができるから。
大学生の時デニーズでアルバイトをしていました。キッチンで。
ハンバーグを焼いたり盛りつけたり、オムレツを作ったり、フライドポテトを揚げたり。今はなき志木店(埼玉県)でしたが、チームの雰囲気が良くて楽しくて仕方がなかったのを覚えています。
でも、お客様の顔を見たことがありません。満足している顔、不満足の顔、クレームを受けるのもMD(ミスデニーズ=ウエイトレス)の仕事です。
キッチンは報告を受けることがあっても、お客様に直接会うことがありません。
システムができていて素晴らしい環境です。味もバッチリです。
でも顔が見えないんです。
家事
家事って、お客様の顔を見ることができるホテルみたいなものです。
綺麗に清掃された風呂に浸かって喜ぶ家族を見て満足できる。
美味しいと喜んでくれる顔を見て、「次は何を作ろうかな?」って思う。
パリッとアイロンで仕上げたワイシャツで出かけるご主人を見送って満足する。
綺麗にベッドメイクされた寝床で安らぐご家族を見て幸せに浸る。
美味しいって言ってくれる事のために、とびきり美味しいコーヒーを淹れる。
風呂上がりの満足のために、ふわふわのタオルを用意する。
ワインを美味しく飲んでもらうために、美味しいおつまみを用意する。
トイレも綺麗に、食器も綺麗に、部屋の香りも、洗濯物の匂いも全て喜ぶ顔を見たいから。
違いますか?
顔が見えるということ
私の話で恐縮ですが、料理するときは家族の喜ぶ顔を想像しながら作ります。
いい顔をして食べてくれると、それだけで幸せな気持ちになります。
家内が病に倒れて九州(家内の実家の近く)で無職リハビリサポーターを経て、ナポリピッツアの店をやっていた時の話です。
4日間も生地を熟成させて作るピッツアは成形がとてもしにくいのですが、400℃の石窯の中で弾けるように膨らみ、何とも言えない芳醇な香りを放ちます。
オーバーナイト法と言われている方法で一晩寝かせるのが一般的ですが、息子が冷蔵庫の奥に生地を忘れていたのがきっかけで掴んだ4日間低温熟成生地。
外側はサクッと、中はモッチモチと表現されるナポリピッツアですが、生地が放つ香りはあまり話題になりません。
4日間超低温熟成させた生地は、小麦粉、塩、酵母、水だけが原料とはとても思えない芳香。引き算料理の最たるもの。
でも、田舎町のこじんまりとした店でしたから、最初は期待しないで来店するお客様がほとんど。
石窯の前で、明らかに期待していないであろうお客様の顔をそーっと覗きます。
美味しい顔とかではなく驚きの顔!!!!
ガッツポーズです。
顔が見えること。
やりがい、幸せ。





そして感謝
一人で来店して、店に足りないところをさりげなく指摘していただいていたお客様がいらっしゃました。
本当に店のことを考えて言ってくださっているのがわかって、言われたことはすぐに実行していました。
ピッツアの味だけは指摘されたことがありませんでした。
お互いに顔が見えている、とてもいい関係でした。
ある時、タクシーに乗って来店されてタクシーの運転手さんにもピッツアを振る舞われていました。
「ちょっと体壊してね。病院抜け出して食べにきたよ」
病院からは約20キロメートル。わざわざ食べにきてくれました。
そのうち忙しさに紛れて、そのお客様がいらっしゃらなくなった事を気にしなくなっていました。
ある日、女性3人組のお客様が来店されました。
見るからに3世代。
3名ともマルゲリータをご注文になったので、3種類を別々に頼まれてシェアされたらどうか?とお勧めしました。
最年長のお母様が「主人がここのマルゲリータが大好物だったので」と仰いました。
癌で亡くなられていました。
悲しみとともに、感謝の気持ちが湧いて来ました。
いろいろと考えてくださっていたし、味には満足していただいていた。
本当にありがたかった。顔が見えていて良かったと。
お供えいただきたいとマルゲリータをお持ち帰りいただきました。
はい、感謝です!!
素晴らしいです!
現在はレストラン経営をされているのですね…
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素晴らしいお店ですね。
そして、美味しそう。
いただいて豊かな気持ちになれる⭐️
美味しさだけではなく、真心も感じました😊
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