【その場凌ぎ】と【とどめを刺す】の決定的な違い

どんなことにも当てはまる。

法則でもなんでもない当たり前。

恒久策と応急策の違い。

なのに若い頃はこれがわからないんですよ。

少なくとも私は出来なくて苦しみました。

何か問題が起こると「十分に気をつけるよう徹底いたしました」っていうあれ。

気をつけていなかったから起こったのではないのです。

問題の素を事前に潰さなかったから大問題になってしまっただけで、現場が気をつけてもまた起こるんです。

当たり前です。問題の真の原因がそこに居続ける限り、また起こります。

人生でも、仕事でも、人間関係でも、病院でも、勉強でも、家事でも、何でもかんでも同じです。多分。

苦い経験

生産機械設計とか生産技術の仕事をそれなりに(いまいちだったかな)やっていました。

ある時その会社がヨーロッパに工場を作ることになりました。

今では1兆円企業です。

ドイツに小規模なカセットテープの後工程(組立、包装、出荷)はあったのですが、ルクセンブルグに完全な生産工場を作ることになったのです。

カセットテープと、VHSビデオテープの工場でした。

プロジェクトに入って、結果的に結婚して赴任しました。

700名以上が働く大きな工場を一気に作りました。

聞こえはとてもいいけれど、日本からやってくるメンバー以外は全て未経験者ってことですよ。それは大変な日常でした。

月400万巻くらいのVHSを生産できる工場でしたが、なかなか安定生産にはなれませんでした。

チェーンの緩みとかネジの緩みとか、ベテランになったら当たり前のこともわからず、発生する問題をとりあえず治して生産する毎日でした。

来る日もくる日も同じような問題でトラブル発生。

ネジが緩んで問題が発生するなら、緩まないようにすればいいんです。

振動があるならそれをなくして、万が一緩む環境になっても緩まないようにすればいい。

ネジロックで固定したり、回り止めのピンを打ったり。

ユニットが振動で動いてしまうのなら、振動を抑制してから動かないようにテーパピンを2箇所打つ。

動かなくなるし、メンテナンスなんかで外してもあっという間に元の位置に戻せる。

当たり前のこと。でも知らなかったし、ゆっくり考えることもできなかった。

恥ずかしい過去です。

乗り越えた先

安定して生産できるようになったら、次は増産です。

1.2秒に1個出来上がる組み立てラインを、0.9秒に1個組み立て上がるラインに改造する。

最大加速度を0.5g以下に抑えながら工夫して安定化させる。

F=maだから、軽量化と加速度を下げてやれば負荷が減る。その理論を応用して改造する。

楽しかった。苦しんで学んで良かった、そう思いました。

最後は月540万巻まで生産できるまでになって、作り続けました。

その後はMDプロジェクト。

こんな私に任せていただいた。嬉しくて。

全ての生産機械をヨーロッパで調達することになって、忙しく楽しく働いて。

そのころは「その場凌ぎするなよ!!」なんて偉そうに言ってました。

右のMDはヨーロッパ限定モデル。

左は、日本に帰るときにチームのみんなが作ってくれたオリジナルMD。

自分たちで作ったスクリーン印刷機で家内と私の姿を印刷してくれた宝物。

振り返るとびっくり。カセットテープもVHSもMDも無くなっている。

でも、【その場凌ぎ】を絶対にしないで【とどめを刺す】ことの大切さを学んだ。

私のもう一つの宝。

ゾッとした

当時のヨーロッパ社の社長、日本での肩書きは部長だったSさん。

ヨーロッパの成功を受けてトントン拍子で出世して、親会社の社長に。

日経新聞に大きく取り上げられた時の記事。

「毎日工場を視察するけれど生産できていない。運ぶ荷物がないトラックの数をみてゾッとした」って書いていた。

ごめんなさい。私の仕業です。

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