飲食店の苦悩その2

芳醇な香りの秘密

今ピッツアの味で悩んでいる方にお教えします。

引き算の料理は簡単ではありませんが、掴んでしまえば強みになります。

発酵、熟成した生地は発酵バターのような芳醇な香りを放ち、嘘みたいに軽い。

アメリカンピザを思い出してください。

これはこれで美味しいですが、まったくの別物。

足し算の料理です。

発酵を促すためと、足りない発酵による甘みを補う砂糖。

これは反則技で、小麦粉の一部が発酵して化けるのに、砂糖が発酵している。

足りない味を砂糖やバターで補う。

複雑極まりない味になるわけない。

砂糖の甘味、バターの香り(足してるからね)。

そして重い。

小麦粉、酵母、塩、水のみを使用したナポリピッツアの生地は、複雑な香りと味、そして軽さが特徴です。

400℃の釜に入れた瞬間から生地が弾けてポツポツと焦げができる。

生きている、熟成が進んだ生地の証拠。

秘密は『発酵終了後、1℃で4日間湿度に気をつけながら保存』

息子が冷蔵庫の奥に忘れた生地に、熟成という変化が生まれたのです。

冷蔵庫に忘れた生地

👇

https://keiken.blog/2020/12/22/%e9%a3%b2%e9%a3%9f%e5%ba%97%e3%81%ae%e8%8b%a6%e6%82%a9/

美味しいピッツアは成形しにくい。

ここポイント。

発酵の後に低温熟成させてください。

絶対に足し算の生地では作れない複雑な香りと軽さの生地ができます。

ブラウンスイス

流行っていない店でしたが、頻繁に来ていただいていたご家族がいらっしゃいました。

ワイン好きで、ピッツアは塩とオリーブオイルだけの素焼き。

でも、高価なものばかり頼んでくださる。

ある日その中のお一人がこうおっしゃいました。

『うちのミルクでチーズ作ってよ。ミルクはタダでいくらでもあげるから』

意味がわかりませんでしたが、どうやら牧場を経営されているようでした。

向こうは泥酔😄

こっちは素面。

お帰りになられたあと(深夜1時)片付けを終えて、いただいた名刺の牧場を検索。

年商130億円、日本で3番目の売り上げを誇る牧場。

5500頭の牛。

豊後牛の肥育も手がけている。

???????

眠れなかった。

明るくなったのを待って電話。

『昨日仰ったこと覚えてます?』

そう聞きました。

『あたりまえだよ。遊びに来ないか?』

店のある街にこんなに大きな牧場があるなんて知りませんでした。

日本に400頭しかいない牛『ブラウンスイス種』

リッチなミルクはモッツァレラチーズ、プリン、マスカルポーネチーズ、ジェラートなどに大変身。

素材がどんどんオリジナルに入れ替わり、店の商品も変貌を遂げていきました。

外国人受け入れ

ここまで大きな会社になると、海外との付き合いも半端ではありません。

オーストラリアから牛を買い、アメリカ、スペイン、ベトナムから牧草を買う。

アメリカとベトナムに会社を持ち、人が頻繁に行き来する。

気がつけば、店は外国人の溜まり場状態。

社長さまが

『こんな田舎町に英語を話せる家族がいたとは驚きだ!!』

って言ってから、どんどん送り込んでくれるように。

金に糸目をつけないから店も繁盛。

釣られるように一般のお客様も見える。

いつの間にか、九州全域、山口県から食べに来ていただけるようになりました。

ある日は田舎道に真っ赤なフェラーリが爆音を轟かせて来店。

福岡からのお客様で、次からは泊まりでご来店いただけるように。

『お前のところの料理はワイン抜きではきつい』

経営者のお客様が多かったのも特徴でした。

苦悩その2

店は流行り始めると家にいる時間が短くなります。

妻のリハビリが疎かになってくる。

体もキツくなってくる。

睡眠時間を削るようになっていきました。

続く

飲食店の苦悩その2” への12件のフィードバック

追加

  1. なるほど!
    写真の牛はブラウンスイス種ですか?
    最初はジャージー種だと思いましたが…
    ネットでちょっと調べてから、2つの品種は実はよく似ていますね!
    イトコかな?

    いいね: 1人

    1. コメントありがとうございます。ブラウンスイスはジャージー種に似ていますが少し小柄です。
      スイスの険しい地形に適しているのかな?
      乳量がジャージーの2割程度少ないので敬遠されがちですが、チーズには最適です。
      日本の乳買取り方式だとブラウンスイスはメリットが無いので、メリットを活かした付加価値を乗せないと厳しいそうです。
      個人的には加熱処理しないブラウンスイス乳で作るプリンが🍮ちょー美味しい。

      いいね

  2. tabisurueiyoushi様、いつもありがとうございます。
    マリアージュに気を使って料理を作っていました。でも面白いのは、どんどん料理を注文して頂いていると、日本酒が飲みたくなるみたいで『鍋島』などのお酒も置いていました。最後の締めはお茶漬けとか石窯焼きおにぎり、ラーメン風パスタとか、まあ日本人ですからね。
    出汁をめちゃくちゃ勉強しました。一応イタリアンでしたけど^_^

    いいね: 1人

    1. へぇ~、鍋島!!
      今度飲んでみます(*^^)v

      締めが和食だとそうなっちゃうんですかね(^^;
      私だったら、締めが必要ないので、ひたすらワインでいけますよ(^.^)
      でも、パッチングワーカーさんが勉強した出汁を使ったお料理も食べてみたいです(^_-)-☆
      イタリアンと出汁を融合した、ヌーベルキュイジーヌ とか??

      いいね: 1人

      1. エスニックが好きな方って女性が多いですよね。
        男は食に対して、っていうか全般的に保守的なんですよ(特に田舎は)
        だから和食を置いておかないと来てくれない^_^
        たしかに女性のお客様は徹底的にワインでイタリアンでした。
        個人的には和もイタリアンもフレンチも中華も関係ないけど、それなりに高レベルの店をやってみたいです。
        安定して、儲ける必要がなくったらの話ですけど。
        イタリアンとダシ、例えば出汁を取り入れたカルパッチョなんか絶対❗️
        シラスのピッツァとか、秋刀魚のピッツァはかなり出てました。
        鍋島、レベル高いです。是非味わってみてください。

        いいね: 1人

      2. エスニック大好きです!!
        夏はやっぱりタイ料理でしょ~って、週に2~3回作ってたら、「せめて週1にしてくれ」と旦那に言われました…(^^ゞ

        いいなあ、高レベルのお店~(#^^#)
        近かったら絶対行くのに~(>_<)

        いいね: 1人

  3. すばらしいお話!生地熟成の件、私のパン作りにも活かせるかな?と思いました。というか、ピザもたまに作るんですよ。私もイタリアで食べた味を再現したいんですがなかなかです。おまけに家庭のオーブンですし。

    いいね: 1人

    1. nikonikomaison様、コメントありがとうございます。
      少量なら置いておけば良いだけ、例えばパンチェッタを手作りするみたいな感じ。是非お試しください。
      nikonikomaisonさんのパンは完璧だから必要ないかも。
      ピッツァはやはり高温の石窯、しかも薪のタイプがないと美味しくできないです。高温タイプのオーブンでやってみましたが全然ダメ。ナポリピッツァを家庭で作るのは諦めています。薄い生地でパリパリタイプのローマピッツァなら出来ます。
      引き算の料理は楽しいですよね^_^

      いいね: 1人

      1. こんにちはパッチングワーカーさん。前は、パン生地の発酵を半分までやって、冷蔵庫に寝かせて、翌日とか翌々日に出して焼く、というのが普通だったのですが、最近1日で焼成までやってしまうっていうリズムになっていまして、もしかしてそれが今のスランプ原因かも?と今思いましたので、さらにゆっくりモードの発酵に戻してやってみます。
        ピッツァはそうですよね、やっぱり。。。私もナポリタイプが好きなんですけど。それもパッチングワーカーさんのピザみたいなの。これは完璧に私の好きなピザです。トマトソースとモッツァレラとバジル。同じのは出来なくても、似たようなものを近々作らなければ、と思っています。こうやって作りたいものが増えてタイヘン😆

        いいね: 1人

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