ボローニャソーセージについて

本物を知る前に判断しない

naturalwinetuscanyさんのランブルスコに関する投稿に食いつきまして、暖かいコメントバックをいただきました。

イタリアの、特にボローニャの食文化に関することは止まらなくなってしまいそうなので記事にしようと考えました。

ボローニャって日本人にはあまり馴染みが深くないですよね。

トスカーナは有名でも、エミリアロマーニャは知らない。

私は25年近く前にある設備を欧州内で調達することになって、ドイツとイタリアの機械メーカー数社を探し当てて実際に見学に行きました。

ドイツはミュンヘン、ブレーメン、元東ドイツのドレスデン、そしてボローニャの設備メーカーを訪れました。

当時はインターネットの走りの頃で、情報取りが難しい時代でした。

イタリアの機械を期待すらしていなかったのです

ランチアの車を買った同僚がいつも壊れると言って嘆いていました。

極め付けは新車で受け取った時、パワーウインドウの閉まるを押すと開いて、開くを押すと閉まる。

欧州でパワーウインドウはメジャーではなかったけれど、流石にイタリアへの不信感が募ってもいたのです。

欧州の人は『イタリア車はいい車だよ。1年落ちの中古で買うのがベストだね。初期不良が治っているからね』って言ってました。

でも、結果的にはボローニャの会社を選びました、

タクト送りと言って毎回毎回送っては止めて仕事をしてまた送る機械なのですが、この手の機械で最も重要なのがF、すなわちforceです。

F=ma

って、物理で学びませんでしたか?

物を止めて動かすとき、スピードゼロから最高速度に至るまで加速をします。

その加速と質量(動かすもの全ての質量)を掛け合わせたものがFになります。

Fが小さければ小さいほど機械や製品に与える負荷は少なくてすみます。

飛行機に乗った時を想像してください。

離陸の時に感じる負荷は大きいですよね。

速度なんて200km/時台です。

でも上空に上がってしまうと時速800km/時以上で飛んでいるのに負荷を感じません。

人間が感じる負荷は速度ではなく加速度だからなんです。

その加速度を巧みに抑えて、しかも動かすユニットの剛性を保ったまま軽量化を徹底していたのがボローニャのメーカーでした。

その差は歴然で、この世界でそれなりのポジションで仕事をしてきた自負があった(自信過剰でしたが)私にとって大きなショックでした。

イタリアのイメージが覆された後、この会社の社長様が私をランチに誘ってくれて、ご馳走になったのが『トルッテリーニアラパンナ白トリュフ添え』でした。

手打ちのパスタを食べたのが人生初めてだったのに、そこに白トリュフがスライスされてふんだんに散りばめられていました。

パルミジャーノリッジャーノチーズをこれでもかと擦りおろしてくれて天国極まりない世界。

『もう少しボローニャのグルメを堪能してくれ!!』と、もう一皿頼んでくれたのがタリアテーレコンフンギポルチーニでした。

手打ちのタリアテーレのポルチーニ添えです。

機械のレベルもパスタのレベルも完敗状態で、イタリアびいき(ボローニャびいき)になった瞬間でした。

cocoparisienneによるPixabayからの画像

naturalwinetuscanyさんのランブルスコに関する投稿を読んで、ボローニャでの幸せな日々が甦ってきました。

日本で飲むランブルスコは安い発泡赤ワインですよね。

ボローニャで飲むそれは別物です。

地域独特のソーセージである『モルタデッラ』のダイスカットをつまみに飲むのが一般的です。

これが本当においしい。

ヨムーノというブログで業務スーパーのボローニャソーセージがリポートされていて、スパムみたいだと。

そしてかなり塩辛いと書いてありました。

こんな質の悪いモルタデッラ(日本ではボローニャソーセージと呼びます)がマーケットに氾濫すると、ボローニャのイメージまで悪くなってしまいます。

本当に残念です。

本場のモルタデッラは全く塩辛くないですし、スパムとは似て非なる高貴な珍味です。

本場のランブルスコと本場のモルタデッラのマリアージュ体験するまでは、是非悪く思わないでいただきたいです。

そこにパルミジャーノリッジャーノチーズが加わると完璧です。

業務スーパーのそれは三流品でしょうし、スーパーで売っている安いランブルスコもボローニャで飲む至福のそれとは違います。

ヨムーノさんのレポートは的確で心地よいです。

業務スーパーのステマではないことがはっきりとわかるからです。

こちらはヨムーノさんのページです。

https://www.o-uccino.jp/article/posts/65437

例えば『本場インドから輸入したスパイス!!』なんてコピーで売られていたら期待しますよね。

でもそれがインドのマーケットでも評判の悪い粗悪品だったら?

流通が発達して何でも手に入る世の中ですが、その土地に行ってその土地の空気と気候の中で評判のよい食べ方をするのが最高なのでしょう。

コロナ危機はそんな当たり前の事を再認識させてくれています。

サンジョベーゼ

サンジョベーゼをご存知でしょうか?

イタリア固有の葡萄です。

これはエミリアロマーニャ州のものではありませんが、お隣のトスカーナ州を中心にこのサンジョベーゼを原料にしたおいしいワインが作られています。

あまりにも有名なイタリアワインであるキャンティもサンジョベーゼベースです。

naturalwinetuscanyさんから頂いたコメントには、初めの頃はサンジョベーゼに関して???だったと書かれていました。

私も同じでした。

薄いし個性がないし…。

ピノノワールに抱いた入門時のイメージみたいでした。

ボローニャにある設備メーカーの社長様に本物のサンジョベーゼを体験させて頂く度に好きになってゆきました。

ピノノワールもサンジョベーゼも、以前書いたネロダヴォラも美味しくないワインが出回りすぎていて、マイナスイメージを抱く人が多いんです。

ピノノワールの代表作はジュブレ・シャンベルタン村のロマネコンティ、サンジョベーゼの代表作はブルネッロ・ディ・モンタルチーノです。

どちらも偽物が出回るほどの最高級ワイン。

サンジョベーゼにも色々あって、サンジョベーゼピッコロ(ピッコロはイタリア語で小さいという意味)で作られる安価なワインはピノノワールのようなルビー色で酸味の強いものができますが、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノはタンニン豊富な重厚なワインです。

近年では、サンジョベーゼをブレンドに使って高レベルのワインを作る生産者も増えてきました。

是非味わっていただきたいです。

可能であればイタリアの気候の中で。

話は変わりますが新しいロゴを3Dで作っていて、ワインを入れてみようと思い立って作ってみましたが怪しいインチキ液にしか見えませんね🙃

人生の化学反応!!をテーマに書いているのですが、何かいいアイデアありませんか?

ボローニャソーセージについて” への12件のフィードバック

追加

  1. 社長さんがおらが村の美味しいご飯を食べてくれ!と自慢げに笑顔で勧めている様子が目に浮かびます。白トリュフだなんて、「最高のおもてなしを日本から来た人に!」って伝わってきます。ポルチーニも生ですものね(季節が秋だったんですね?)。サンジョヴェーゼ種、ずっと語っていたいぐらい色々ありますが、我慢します(笑)幸せって人それぞれだけど、「幸せだなって思える瞬間」がお花だとして、死ぬときに手に抱え切れないぐらいの花束を抱いて眠りにつけたら、きっと幸せな人生だったって思えるな、なんて思っています。人と触れ合い、本物を経験して感動する瞬間が何より大好きです。パッチングワーカーさんの記事は素敵な「お花」物語がたくさんですね。シェアしてくださってありがとうございます!😊

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    1. サンジョベーゼ種、語りたいですね〜。もっと^_^。
      実は私は当時ルクセンブルクに住んでいて、日系企業のルクセンブルク工場(欧州現法の位置付けでした)のエンジニアだったんです。ただ、この社長の会社の機械を日本に帰ってから売ったり、我が家に遊びにきたり、色々と私達に影響を与えてくれた方なんです。サラリーマンメンタリティを根本から叩き直してくださった方です^_^
      イタリア、色んな意味で大好きなんです。特にボローニャですけどね。

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      1. ボローニャ贔屓な日本人の方って初めてです(笑)本当にお好きなんですね(^^)そして、社長さんとは本当に素敵な出会いだったんですね〜いろんなことがずっと後になって連鎖して繋がっていったんだなっていうことありますよね…(見当外れなこと言ってたらごめんなさい。)そんな出会いって貴重で大切ですね!

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      2. ボローニャって世界一の包装機械の聖地みたいなところで、頂点にGDという超一流どころがあって、そこから独立した会社が無数にある感じです。タバコの箱あるでしょ。あの外側に透明のフィルムで包装してあるのですが、1分間に1000箱を機械一台で包むんです。
        その会社はレコーディングメディアの包装や組み立て機械の世界で名を成して、マーケットの衰退を嗅覚で感じていち早く別の世界を探し始め、今はガムやキャンディをはじめとした食品の世界で有名になっています。リコラとかフリスク、リグリーズなどを押さえています。
        基本技術でトップクラスに君臨していれば、後は経営の嗅覚と采配で生き残れるのだと教えてくれました。
        後になって連鎖的に繋がってますよ^_^
        皆様が知るボローニャの、技術的な世界も目の当たりにした数少ない日本人です^_^
        たぶん

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      3. わぁ、目から鱗です!こんな世界もあるんですね!面白いっ!
        物事を一方の方向から知ってても全然別の角度から見ると印象が変わりますね。
        子供の時に一度「赤いリンゴを片側からだけみても裏の色とかわかんないし、穴空いてるかもだし、嗅いでみたり、食べてみたりしてやっと知ることができるかもしれないだろ?」と言われてポケーっとしていましたが、なんか今思い出しました。私が知らないボローニャの世界、深くかぶりついたパッチワークさんだけが知っているボローニャ魅力的ですね!
        多角的に見ていくこと、これからも心がけなきゃ!
        ありがとうございます☺️

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  2. こんにちはー。私もモルタデッラ大好きです。ハム類の中では一番好きかも。フランスでは結構どこでも売っていますが、プラスチックみたいなのに当たるとガックリします。ボローニャといえば、スパゲッティボロネーゼではありませんか?と思ったんですが、日本では「ミートソース」っていう名前で通ってるんでしたよね。フランスでは美食の街として認識されていると思います。あー私もイタリアに行きたいなぁ。

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    1. 美食の街ですよね。コーヒーのセガフレードザネッティもボローニャだし、パスタ美味しいし、フィオレンティーナ(これはトスカーナ料理ですけど)も絶品。
      魚料理はイマイチだけどシチリアに行けば感動できるので餅は餅屋です。
      ボローニャではスパゲッティボロネーゼとは言わず、ラグーって言うんです。肉🍖って言う意味のパスタ。ある意味ミートソースの方が意味が合っているかも。ボローニャではスパゲッティよりタリアテッレが多いです。乾麺をあまり食べない。パルミジャーノチーズを真っ白になるまでかけて食べます^_^パルミジャーノもボローニャ県産。
      ブルターニュも美食の地域ですよね。リヨンも大好きです。
      フランス、イタリア、スペインなどのヨーロッパのラテン系の国は本当に美味しいものが多いですね。
      ボローニャ語りだすと口説くなってしまいます。ごめんなさい🙏

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      1. そうでしたね、ボロネーゼはフランス語でした。こちらでもスパゲッティよりショートパスタかタリアテッレの方が多いです(フランス人はロングパスタ、特にスパゲッティ系を食べるのがとても苦手)。ふふ、またさらにボローニャ語ってください。たのしみにしています😋

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