大企業に入れば一生安泰時代の終了
黒田 悠介 さんが書かれた「ライフピボット 縦横無尽に未来を描く 人生100年時代の転身術」についてコメントしたいと思います。
半年くらい前に出版された本ですが、サントリーホールディングスの新浪社長の「45歳定年説」にコメントした事に加えてコメントさせてほしいと思います。
ライフピボットとは「人生の転換期」と訳すのが一番自然だと思います。
終身雇用制度が順調に機能している頃は、ライフピボットは結婚や家族が増えること、持ち家を持つことを意味したのかもしれませんが、黒田さんのいうライフピボットは仕事の事です。
この言葉は黒田さんが作った言葉ではありません。
コロナ前にBrad Askewさんが
Life Pivot: How do you answer the question: “what should I do with the rest of my life?”
ライフピボット:残りの人生で何をすべきか?あなたはどう答えを導きますか?
という本を出しています。
内容は異なっていますが、どちらも人生の転換期について書かれていることは同じです。
私が育った環境では「起業=破産」のように刷り込まれていて、
「良い大学へ行って良い会社に入りなさい」
と言われてきました。
良い会社の定義が曖昧でしたが、何はともあれ一部上場の成長著しい企業に就職することができました。
目的が良い会社に入ることでしたから、それで幸せになれると信じていました。
でも、なんだかこの会社にいても大金持ちにはなれなそうだぞ????
みたいに感じ始めていましたが、会社を離れるといった選択肢はありませんでした
レールに乗ってさえいれば、一生安泰だから!!
そう信じさせられていました。
というか、父も母も今でもそう信じている節があります。
それを否定することはありませんが、今の私はそうは思っていません。
22歳で入った会社に60歳まで居るとすると、38年間も居続ける事になります。
普通の人は転勤もそう多くはなく、順調に係長、課長、部長と階段を登っていくのでしょう。
スモール転機を繰り返すくらいで、会社から言われて自己啓発を目的もなく(資格を取ると少しお金をもらえるから)淡々と行うくらいが普通です。
それでも物事の周期が数十年であった時代ならば、大きなトラブルなしに定年を迎えることができました。
黒田さんは言います。
「人生のルールが激変したんだ!!」と
長寿命になったことやライフスタイルが短縮化されている事に付加して
「世界の変化の速度」
をあげています。
私が就職した1986年(日航ジャンボ機墜落の翌年です)にはインターネットがありませんでした。
携帯電話もなかった時代で、駅には待ち合わせに失敗した人たちのための伝言板が備え付けられていました。
入社して最初の1週間の研修中にアイドル歌手の岡田有希子さんが自殺を図りましたが、それを知ったのは翌朝にキオスクに並べられていたスポーツ新聞の見出しでした。
今ならSNSやプッシュ式のニュースがスマホに届き、タイムリーに知っている事でしょう。
1991年(湾岸戦争の年です)に結婚して欧州に赴任になった時は、タイムリーな日本の情報を得る手段は1日に2時間だけ放送していたJSTV (Japan Satelite television)というNHKと民放のドラマ主体の放送局と時差分遅れて届けられる朝日新聞だけでした。
パラボラアンテナを必死で調整して、やっと見れた101回目のプロポーズに感動したのを今でも覚えています。
1995年1月17日の朝起きてJSTVで見た同時放送ニュースで知った阪神淡路大震災の発生。
この光景を目の当たりにした三木谷さんが起業を決意したのが、のちに一世を風靡する楽天の始まりです。
たった25年前には影も形もなかった楽天は1兆5000億円の売り上げを誇る超大企業になっています。
阪神淡路大震災の時には私の手元にインターネットはありませんでした。
買い替えたノートPCにインストールしたネットスケープナビゲータで、電話回線を使って見た日本語版Yahooに興奮したのが1996年でした。
ルクセンブルグの自宅で日本のニュースがタイムリーに、しかも日本語で見られるなんて夢を見ているようでした。
私がルクセンブルグで作っていたのはVHSビデオカセットでした。
一世を風靡したこのビデオシステムを知っている若者は少ないと思います。
カセットテープやMDも同じでしょう。
物心ついた時には、音楽や動画はディスクに入っているものであったりネットを介して観るものであったに違いありません。
今は影も形もほとんどないこれらのプロダクトのサイクルも短く短くなってきているのです。
計画ではなく準備をする
こんな風のような速度で目まぐるしく変化する時代において、計画は意味をなしません。
上述した時代において、38年間の安泰を想像できましたか?
ありえない事ですよね。
だから知識、経験、人脈、などの準備をして備えることが重要なのだと黒田さんは言っています。
これは45歳定年制にピッタリとはまります。
入社後22年程度で人生に転換期が訪れる。
だから準備をする。
それでも22年間の間に世界は激変する事でしょうが、38年間安泰の計画よりはずっと現実的だと思います。
学びの速度も、提供される教材の選択肢のおかげで驚異的に早くなっています。
昔は八重洲ブックセンターに行って探さなけらばならなかった情報のほとんどが、インターネット上から探し出すことができますし、スマホを使って知りたい今すぐに見つけることができます。
無料の動画教材も豊富に出回っていて、教材に課金しなくても提供者がしっかり稼げるプラットフォームも用意されています。
大学教育には優れたLMSが備わっていて生涯教育にも使い続けることができるのですから、学ばない手はないわけです。
ビデオを見て、気になったところに(e)付箋を貼って、コメントを入れることができて、仲間と共有できる。
教材のどの辺りで視聴を中断するのか?
どの部分を繰り返し観ているのか?
さまざまなデータが分析されて先生の元に届きます。
視聴する時間が違っていても同じ動画について議論できる、SNSと同じ考え方の仕組みがある。
電話やZoomで繋がなくても、時差があってもオフラインで一緒に学べるわけです。
外国に行かなくても、しかも無理に時間を合わせなくても外国人と議論できる!!
昔より遥かに楽しみながらライフピボットへの準備ができる。
マイクロラーニングが当たり前になっていて、5分程度の空き時間を使って学ぶことができる。
学び方もすごいスピードで進化する世の中なのです。
もう一度問いますが、こんな時代に38年間(新しい法律では43年間)も雇用され続けることが当たり前だと思いますか?
変化に柔軟な人材ばかりの世の中になれば、日本はまた世界をリードできる先進国に返り咲くことが可能だと思っています。
最先端の教育システムを楽しんで、薔薇色の45歳定年をワクワクしながら迎えましょう!!
全く違う話で恐縮ですが、私の父が2箇所の心臓弁置換、3本のバイパス術を86歳の時に受けて成功しました。
その時の執刀医は新浪社長の弟さん、新浪博士教授でした。
素晴らしい兄弟!!
考え方って大切ですよね。
起業 = 破産
なのですね!😅
そう言えば、昔家内に言われた一言が忘れられません。
「あなたと一緒にいると、ジェットコースターに乗っているみたい」
零細で、浮き沈みが激しいからです。
それにしても新浪さんと深いご縁があるようですね。
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