組織委員会内目線での見解
森喜朗氏が辞任の意向を示しました。
もう少し早く表明されると読んで準備していたため、このブログの投稿が遅れました。
今回の森氏の失言は失言ではないです。
森氏のお考えだし、二階氏のお考えなんだと思います。
二階氏は何食わぬ顔で、今まで通り後ろから自民党の上層部を迷走させる事でしょう。
お二人とも、軍国主義下の日本で生まれ育ち、敗戦と共に米国主導で民主主義に大きく舵を取った慌ただしい時代の流れにあって、考え方の変化について行けなかっただけの話だと思うのです。
森氏は気配りの人として有名で、歴代総理の中でも桁外れの人脈をお持ちだと聞きました。
IOCからすぐに擁護が入ったところからもわかるように、IOCの上層部との関係も強力な証拠です。
最大の問題は、組織委員会の方々や橋本聖子五輪相兼内閣府特命担当(男女共同参画)大臣、女性活躍担当大臣が『この方の考え方や言動は五輪のポリシーに相応しくない!!』と、声を上げられなかったこと。
共に東京五輪を成功させようと頑張ってきた仲間であれば、互いの人格や根底にある考え方くらいはわかっている筈ですよね。
この失言まで裸の王様を続けてきた事で、森氏が気配りの人としてIOCとの関係を築いてきた事も、IOCとの強固な信頼関係を築いたことも打ち消され、全否定される羽目に陥ってしまいました。
声を上げることの先送り(今更言っても遅い)によって、森さんへの全否定と、日本の男女同権後進国のレッテル(元々G7中最悪)も確固たる地位を築いてしまったのです。
以上は国民目線では全くないのですが、組織委員会内目線としても最悪の振る舞いであり結末だったと思うのです。
国民が全く見えていない方々の中だけでのこの騒動、五輪中止になっても(なるでしょう)ギリギリまで開催を呼びかけて国民を欺き(今更誰もできるとは思っていないが、日本サイドからの中止決定では保険金の受け取り額が大きく減ることになる)、橋本さん達は最後まで頑張ったと言いながら落とし前をつけない腹なのでしょう。
本物の政治家
コロナ禍でも国民にマスクをいち早く 無料で届けたり、政治主導で感染拡大をコントロールしたりと政治が素晴らしいオーストリアにお住まいのブロガーさんの情報ですが、心から国民のために全てを捧げる覚悟の方か、ビジネスなどで大成功されてお金は潤沢にお持ちの方々が政治家になるのが普通なのだそうです。
私が住んでいたルクセンブルグも同じでした。
鉄工業で栄えた国ですが(世界一を誇った鉄鋼会社アルセロール社(現アルセロールミッタル)はルクセンブルグの会社です)、1970年台前半の石油危機に危機感を持ち、鉄工業が衰退に向かうと判断した政治家達が知恵を絞り産業構造の転換を政治主導で推し進めました。
詳しくは書きませんが、金融界の人なら必ず知っている重要な拠点で、投資信託残高は米国に次いで世界第2位です。
神奈川県ほどの小国がGDP世界1位(日本は24位)にまで上り詰められたのは、政治家の力が大きいのです。
金融だけではなく、ICTや電子商取引産業などへの支援も手厚く、マイクロソフトに吸収されたスカイプもルクセンブルグの会社です。
2000年代初めには電子マネーが行き渡っていて、買い物も公共交通機関に乗るときも使うことができました。
今では全ての公共交通機関を無料で使えるようになりました。
オーストリアやルクセンブルグは小国であるが故に、何もしてくれない政治家はあっという間に居場所がなくなります。
自然と本気の政治家だけが残るのです。
米連邦議会にトランプ大統領支持者が侵入した事件、ミヤンマーのクーデター、新疆ウイグル自治区での虐殺等、世界中が声を上げるようなあり得ない非人道的かつ自己中心的な振る舞いに対しても、未だ日本は静観を決め込んでいます。
主体性がない国だと思われるでしょうね。
近年の政治では、日本が世界に先駆けて実行して、評価されたり世界が追随するような取り組みを見つけることが難しいです。
要するに、少なくとも政治の世界は進化していないのだと思うのです。
新日本列島改造論が登場する日が来るのでしょうか?
本題
かなり横道に逸れてしまいました。
海外で暮らして外から日本を見る機会があると、日本の良いところ、ダメなところがよく見えるようになります。
日本のダメなところの一つに
『先送りして熱りが冷めるのを待つ』
と言う文化があります。
企業の中の意思決定にまでこの思想が及び、アジア各国とのスピード感に大きな差が生まれています。
私のチームに4名の女性がいます。
4名とも社長にお願いして採用していただいた女性達です。
Aさんは税理、財務のプロ 法律を熟知 独身。
Bさんは事務方のプロ あらゆるソフトを使いこなします 独身。
Cさんは貿易実務、外部との交渉のプロでTOEIC満点 アメリカの大学を出てイギリスに渡って仕事をしていた方で2人の子持ちシングルマザー。
Dさんは通訳1級 知らない事でもあっという間にものにするマルチな天才で、アメリカの某有名大学を主席で卒業 超優良企業にお勤めの旦那様と二人暮らし。
チームには数で勝る男性軍がおりますが、柔軟性、仕事の速さ、学習能力等で圧倒的な差を見せつけています。
勿論私もダメダメです。
1つ目に言いたいこと
女性の方がはるかに優秀なんですけど
パッチングワーカー🙃
先週からDさんが産休に入りました。
ずっと子供が欲しかったのだそうですが、なかなか恵まれなかったそうです。
海外取引の面倒な部分を任せていたのですが、1年後には帰ってきて欲しい(CさんとDさんはテレワークでお願いしています)ので、代わりの社員を採用しません。
貿易実務のパートを採用してCさんの負荷を減らし、Dさんの仕事をCさんと私でこなそうと考えているのです。
数の道理で絶対にオーバーフローするわけですが、そこは複数のICTアプリを導入して一気に効率化を図るのです。
CさんとDさんは英語がほぼ完璧ですから、翻訳業務も多く負荷がかなりあります。
それも、機械系と化学系の特殊用語がたくさん使われている仕様書などの翻訳ですから、Google翻訳などは役に立ちません。
AIを使った有料の翻訳アプリの導入。
notionと言うデータベースの導入。
CRMの更新(経理ソフトと連携していないCRMから乗り換えます)
をDさんの妊娠が判明した時から準備を始めて、コスト対効果、ICTに弱い社員へのサポート、導入計画等の資料を用意して、根回しも徹底的にしました。
稟議書も根回し通り作って提出。
なのに、役員の上の方で差し戻し。
『CRMの機能について疑問の声』
資料を作って説明し直して….。
そのあとしばらくの間、その方の机で稟議書は眠りについていました。
時間がないので再々催促をしたところ、帰ってきた答えが
『ああ、あれはOKだよ。問題ない。僕のところで止まっていたのを社長に知られたくないので、日付を今日に修正して出し直してね。』
全く同じ内容で、全く同じコストで、導入が遅れて、再々説明の労力と準備期間の欠如が発生したのです。
意味もなく先送りするだけの差し戻しって、時間もお金も余計にかかって、面倒なことだらけです。
パッチングワーカー🙃
はい、これが日本の悪しき習慣です。
ただ止めただけ。
その間に学習も調査もなされず、同じ内容でOKになる。
森さんもすぐに辞任表明しておけば潔さも評価されたし、国際的にもここまで大騒ぎにならなかったと思います。
勿論委員会に森さんの根底にある考え方に意見できる雰囲気があれば、そもそもこんな騒ぎは起こっていません。
決断の速さと、チーム間で意見を言い合える雰囲気作りは必要です。
裸の王様ってどこにもいますから。
今回の失言騒ぎ、日本が抱える問題をあぶり出してくれました。