朝晩がひんやりしてきたと思ったら、子どもが鼻をぐずぐずさせ、夜になるとコンコンと咳き込む。先週熱が下がったばかりなのに、また保育園から「お熱です」の電話——。季節の変わり目のたびにこんなことが続くと、「私の体調管理が悪いのかな」「服装がいけなかったのかな」と自分を責めたくなってしまいますよね。
でも、どうか安心してください。季節の変わり目に子どもが体調を崩しやすいのは、あなたの育て方のせいではありません。子どもの身体がまだ「育っている途中」だからこそ起こる、自然なことなのです。今回は、東洋医学の養生の知恵から、秋の子どもの体調との付き合い方を一緒に見ていきましょう。
季節の変わり目に子どもが熱を出す・咳が出るのはなぜ?
一般的には、子どもがよく熱を出すのは「免疫がまだ発達途中だから」と説明されます。生まれてから少しずつ、さまざまなウイルスや細菌に出会いながら免疫を獲得していくため、特に集団生活を始めた最初の1〜2年は、風邪をひく回数が多いのが普通です。
さらに秋は、昼夜の寒暖差が大きく、空気も乾燥し始める時期。鼻やのどの粘膜が乾くと、ウイルスが入り込みやすくなるとも言われています。夏の疲れが残ったまま気温が下がることで、体調を崩しやすくなるのも一因です。
ですから、季節の変わり目に子どもの体調が揺らぐのは、ある意味で「成長の通り道」。西洋医学的にも、多くの場合は心配しすぎなくてよいものとされています。
東洋医学で見る「子どもの肺と脾」
東洋医学では、子どもの身体を「大人を小さくしたもの」とは考えません。子どもには子ども特有の体質があるととらえます。
子どもは「肺」と「脾」がまだやわらかい
東洋医学には、子どもは「肺常不足(はいじょうふそく)」「脾常不足(ひじょうふそく)」という考え方があります。つまり、呼吸や皮膚のバリアを担う「肺」と、消化吸収を担う「脾(ひ)」が、まだ発達の途中で弱りやすい、ということです。
ここでいう「肺」は、肺そのものだけでなく、鼻・のど・皮膚など外の世界と触れ合う「身体の表面の守り」全体を指します。秋は五行で「肺」の季節。そして肺は乾燥が苦手です。秋の乾いた空気は、まだ守りの薄い子どもの肺に負担をかけやすいのです。
脾と肺は「親子」の関係
もう一つ大切なのが、脾と肺のつながりです。東洋医学では、脾が食べ物から作り出した「気(エネルギー)」が肺に送られ、身体の守りの力になると考えます。脾は肺の「お母さん」のような存在なのです。
夏の冷たい飲み物やアイス、暑さによる食欲の低下で脾が疲れていると、秋になって肺に十分な力が届かず、咳や鼻水、発熱を繰り返しやすくなります。一方で子どもは「陽気(ようき、身体を動かす温かいエネルギー)」が盛んなので、熱を出すのも早いけれど、回復するのも早いのが特徴です。
今日からできる秋の子育て養生
特別なことは必要ありません。毎日の暮らしの中で、少しずつ「肺」と「脾」を守ってあげましょう。
食事:温かく、白いもの・消化にやさしいものを
- 冷たい飲み物は常温か、ぬるめの白湯・麦茶に切り替える
- 秋の「白い食材」(梨・れんこん・大根・かぶ・豆腐・白ごまなど)は、肺を潤すとされる
- おかゆ・うどん・やわらかく煮た野菜など、脾にやさしいものを中心に
- 甘いお菓子や揚げ物のとりすぎは脾に負担をかけるので、少し控えめに
食べない日があっても大丈夫。無理に食べさせず、食べられるものを少しずつで十分です。
生活:乾燥と寒暖差から守る
- 加湿器や濡れタオルで、室内の湿度を50〜60%程度に
- 朝晩はベストや薄手の羽織りで調節。首元・背中を冷やさない
- 汗をかいたらこまめに着替えを
- 早寝を心がけ、夜はゆっくり身体を休ませる
親子スキンシップ:背中をやさしくなでる
肩甲骨の間あたりには、東洋医学で肺と関係が深いとされる「肺兪(はいゆ)」というツボがあります。寝る前に、手のひらで背中の上のほうを円を描くようにやさしくなでてあげましょう。押したりもんだりする必要はありません。温かい手でふれるだけで、子どもも安心して眠りにつきやすくなります。
おなかも同じように、おへそのまわりを時計回りにゆっくりなでてあげると、脾をいたわる親子のふれあい時間になります。
こんなときはすぐ小児科へ
養生はあくまで日々の土台づくりです。次のようなときは、迷わず小児科を受診してください。生後3か月未満で38℃以上の発熱がある、ぐったりして元気がない、水分がとれずおしっこが少ない、呼吸が苦しそう(ゼーゼーする・肩で息をする)、咳で眠れない日が続く、熱が3日以上下がらない、けいれんを起こした——。「いつもと様子が違う」という親の直感も大切な受診のサインです。
まとめ:整えながら、一緒に育っていく
季節の変わり目に子どもが体調を崩すのは、肺と脾がまだ育っている途中だから。熱や咳を繰り返しながら、子どもの身体は少しずつ強くなっていきます。
大切なのは「病気をさせない」ことより、崩れたときに戻れる身体を「整えて」あげること。温かいものを食べ、よく眠り、背中をなでてもらう。その積み重ねが、何よりの養生です。そして看病で疲れたお父さん・お母さんも、どうか自分の身体をいたわってくださいね。
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※本記事は東洋医学の考えに基づく養生の知恵を紹介するものであり、医療行為の代替を推奨するものではありません。症状がある方は必ず医療機関を受診してください。

