秋になって、子どもの乾燥肌・かゆみが気になるとき
朝、着替えをさせていると、ひじの内側やほっぺたがカサカサに白く粉をふいている。夜になると、寝ながら体をかいている。保湿剤を塗っても、また次の日には乾いてしまう——。そんな様子を見て、「私のケアが足りないのかな」「アトピーになってしまうのかな」と心配になる親御さんは少なくありません。
初めての子育てでは、子どもの肌の変化ひとつひとつが気がかりです。でも、まずお伝えしたいのは、秋に子どもの肌が乾燥してかゆがるのは、決してあなたのせいではないということです。空気が一気に乾く季節の変わり目は、大人でも肌がゆらぎやすい時期。体の小さな子どもなら、なおさら影響を受けやすいのです。
子どもの乾燥肌・かゆみは、一般的にどう考えられている?
小児科や皮膚科では、子どもの肌は大人に比べて角層(肌の一番外側のうるおいを守る層)が薄く、水分が逃げやすいため、乾燥しやすいと考えられています。秋は湿度が下がり、さらに汗や汚れ、衣類のこすれなども刺激になって、かゆみにつながります。
対処としては、入浴後すぐの保湿、刺激の少ない石けんでやさしく洗うこと、爪を短く整えること、湿疹がひどいときは医師の診断のもとで塗り薬を使うこと、が基本です。これらはとても大切なケアで、まず優先して行いたいことです。
ただ、「同じように保湿しているのに、肌が落ち着く子と、くり返しカサカサになる子がいる」という違いは、肌の表面だけを見ていてもわかりにくいところがあります。
東洋医学では「肺」と「脾」から子どもの肌を見る
東洋医学には「肺は皮毛(ひもう)を主る」という考え方があります。皮毛とは皮膚と体毛のこと。「肺」は呼吸だけでなく、全身にうるおいと気(エネルギー)をめぐらせて、皮膚のバリアを保つ役割を担うと考えます。そして秋は、乾燥の邪気「燥邪(そうじゃ)」が肺を傷めやすい季節です。肺がうるおいを失うと、皮膚も乾いてカサカサし、かゆみが出やすくなると捉えます。
もうひとつ大切なのが「脾(ひ)」です。脾は消化吸収をつかさどり、食べたものから気・血・水(体を満たすエネルギー・血液・うるおい)をつくる「元気の工場」。子どもは「脾が未熟」といわれ、食べ過ぎや冷たいもの、甘いものの摂り過ぎで、すぐに疲れてしまいます。脾が弱ると、肌に届けるうるおいの材料が不足したり、余分な水分(湿)がたまって、じゅくじゅくしたり、かゆみが強くなったりすると考えます。
つまり、乾燥肌は「肺が乾いている」、くり返すかゆみは「脾が疲れて、うるおいを作れていない」というサインかもしれません。肌のケアに加えて、体の内側から整えるという視点が加わります。
親子で今日からできる、秋の肌養生
難しいことをする必要はありません。毎日の暮らしの中で、肺をうるおし、脾をいたわることを意識してみましょう。
1. 肺をうるおす食べもの
梨、れんこん、白きくらげ、大根、はちみつ(1歳未満の赤ちゃんには与えないでください)、豆腐、山いもなど、白くてみずみずしい食材は、東洋医学で肺をうるおすとされています。梨をすりおろして少し温めたり、れんこんをすりおろしてお味噌汁に入れたりすると、小さな子でも食べやすくなります。
2. 脾をいたわる食べもの
かぼちゃ、さつまいも、おかゆ、うるち米、じゃがいも、にんじんなど、やさしい甘みのある温かい食べものが脾を助けます。冷たい飲み物やアイス、甘いお菓子の食べ過ぎは、脾に負担をかけやすいので、秋は少し控えめにしてみましょう。
3. お風呂と夜の過ごし方
熱いお湯は肌のうるおいを奪います。ぬるめ(38〜40度くらい)のお湯に、短めの入浴が目安です。入浴後は、肌が湿っているうちに保湿をしましょう。夜更かしは、肌の再生の時間を削ってしまうため、できるだけ早めに布団に入る習慣も、肌のためになります。
4. 親子のスキンシップとしての「やさしいなでなで」
お風呂上がりの保湿のときに、手のひらで腕の外側(手首からひじ、肩に向かう流れ)を、ゆっくりやさしくなでてみてください。東洋医学では、この腕の内側から外側にかけての経絡(気の通り道)は「肺」とつながると考えます。力を入れず、「大丈夫だよ」と声をかけながら、親子で心地よくなる程度で十分です。ツボを押す必要はありません。
5. 衣類と部屋の環境
肌に直接触れる肌着は、綿などやわらかい素材を選びましょう。暖房を使い始めると部屋が乾燥しやすくなるので、加湿器や濡れタオルで湿度を50〜60%程度に保つと、肺も肌も楽になります。
こんなときはすぐ小児科・皮膚科へ
次のような場合は、養生で様子を見ずに、早めに医療機関を受診してください。
- 肌が赤くただれて、ジュクジュクしている、または黄色い汁やかさぶたが出ている
- かゆみが強くて夜眠れない、ぐずりが続く
- 発熱やぐったり感、食欲低下をともなう
- 保湿を続けても、2週間以上よくならない、あるいは悪化している
- 水分がとれない、ミルクや食事を受けつけない
また、乳幼児の湿疹やアトピー性皮膚炎の治療は医師の判断が欠かせません。漢方薬を子どもに使うことは、自己判断では行わないでください。
まとめ:肌を「治す」のではなく、体ごと「整える」
秋の子どもの乾燥肌やかゆみは、肌だけの問題ではなく、肺のうるおいと、脾の元気のバランスの揺らぎとして見ることができます。保湿などの毎日のケアはそのままに、そこへ「梨やれんこんを食卓に」「早めの就寝」「お風呂上がりのやさしいなでなで」を少しずつ足してみてください。
完璧にやろうとしなくて大丈夫です。親が頑張りすぎて疲れてしまうと、それが一番の負担になります。「今日は保湿だけできた」でも十分。親子でゆったり過ごす時間そのものが、子どもにとっても、いちばんの養生になります。
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※本記事は東洋医学の考えに基づく養生の知恵を紹介するものであり、医療行為の代替を推奨するものではありません。症状がある方は必ず医療機関を受診してください。
