一人暮らしを始めてから、なぜか疲れが抜けない?
一人暮らしを始めて半年。授業とバイトとサークルで毎日が過ぎていくけれど、朝は起きるのがつらく、午後になると体が重い。口内炎が治ったと思ったらまた別の場所にできる、夕方になると甘いものやコンビニの菓子パンに手が伸びてしまう。そんな状態が続いていませんか。
「ちゃんと寝ているはずなのに」「若いから大丈夫なはずなのに」と、自分を責めてしまう人も多いかもしれません。でも、疲れやすさは意志の弱さではありません。生活が大きく変わった秋の今、身体が出している小さなサインです。
一人暮らしの大学生が疲れやすいのは、睡眠不足と栄養不足のせい?
一般的には、大学生の疲れやすさや口内炎は、睡眠不足、栄養の偏り、ストレスが主な原因と考えられています。ビタミンB群や鉄分が不足しやすい食生活、レポートや試験による夜更かしが重なると、身体の回復が追いつかなくなるというわけです。
もちろん、それは大切な視点です。ただ、「寝る時間を増やそう」「野菜を食べよう」とわかっていても、一人暮らしでは自炊の時間も予算も足りないのが現実です。そこで、東洋医学の見方を知っておくと、お金をかけずに「何を整えればよいか」の優先順位が見えてきます。
東洋医学では「脾」の疲れが全身のだるさをつくると考えます
東洋医学には、食べ物から元気のもとを作り出す働きを「脾(ひ)」と呼ぶ考え方があります。現代医学でいう脾臓とは少し意味が違い、胃腸の消化吸収を中心とした「エネルギー工場」のようなものです。
脾が疲れると「気」が足りなくなる
脾が弱ると、食べたものから十分な「気(き)」、つまり生命エネルギーが作れなくなります。これが「気虚(ききょ)」、いわばガス欠の状態です。午後になると体が重い、食後に眠くなる、集中力が続かないといった症状につながります。
冷たいもの・甘いもの・不規則な食事が脾に負担をかける
脾は、冷たい飲み物、甘いもの、脂っこいもの、そして食事の時間の乱れが苦手とされます。コンビニの冷たい飲料、菓子パン、夜遅いスナック菓子は、脾にとっては負担になりやすい組み合わせです。負担が続くと、水分の代謝が滞って身体が重だるくなる「湿(しつ)」がたまり、口内炎やむくみ、肌荒れとして現れることもあります。
「考えすぎ」も脾を疲れさせる
東洋医学では「思い悩むと脾を傷める」と言われます。就活や進路、人間関係であれこれ考え続けると、食欲が落ちたり、逆に食べすぎたりすることがあります。心と脾がともに疲れる状態を「心脾両虚(しんぴりょうきょ)」と呼びます。神山先生や阿久沢先生が語られるような東洋医学の基本的な考え方でも、心と身体は切り離さず、一つながりで見ていくことが大切にされています。
一人暮らしの大学生にもできる、コンビニと学食の食養生
ここからは、コストをかけずに今日から始められる方法です。完璧を目指さず、できそうなものを一つだけ選んでみてください。
コンビニで脾をいたわる選び方
- 飲み物は冷たいものより、常温の水かお茶、あれば温かい飲み物を選ぶ
- 菓子パンの代わりに、おにぎり(鮭や梅)や、わかめ・卵の入ったカップ味噌汁を選ぶ
- 小腹がすいたら、スナック菓子よりも焼き芋、バナナ、ナッツを選ぶ
- 具だくさんのスープ(豚汁やけんちん汁)は、温かく消化にもやさしい、脾に嬉しい一品
学食で整えるコツ
- 定食を選び、ごはん・汁物・おかずがそろう形にする(単品の丼やパスタばかりにしない)
- 汁物を一杯つけて、温かいものをお腹に入れる
- 麺類が続くときは、野菜やきのこの小鉢を一品足す
- 食事の時間を、できるだけ毎日同じ頃にそろえる
1分でできる脾のセルフケア
膝のお皿の下から指4本分ほど下、すねの骨の外側にある「足三里(あしさんり)」は、胃腸を整える代表的なツボです。座ったまま、気持ちよい強さで5回ほどゆっくり押してみましょう。お腹に手のひらを当てて、深く息をはきながら温めるのもおすすめです。授業の合間やバイト前でもできます。
睡眠は「質」より「リズム」から
東洋医学では、夜11時頃から身体の修復が進むとされます。毎日早く寝るのは難しくても、起きる時間だけは土日も大きくずらさないようにすると、脾のリズムが整いやすくなります。
こんなときは一人で抱え込まないで
疲れや気分の落ち込みが強い、眠れない日が長く続く、食欲がまったくないといったときは、養生だけで何とかしようとせず、学内の保健センターや学生相談室、医療機関に早めに相談してください。相談することは弱さではなく、自分を大切にする行動です。
まとめ:疲れやすさは、整えていくためのサイン
疲れやすさや口内炎は、あなたの努力が足りないからではなく、脾が「ちょっとお休みがほしい」と伝えてくれているサインかもしれません。冷たいものを温かいものに変える、汁物を一杯足す、食事の時間をそろえる。そんな小さな一歩で十分です。
「治す」のではなく「整える」。その気持ちで、毎日の食事とリズムをゆるやかに見直してみてください。
あわせて読みたい
- 後期に風邪で休む学生が増えたら——東洋医学の「衛気」で考える大学生の風邪予防と大学ができる支援
- 夜型生活で1限欠席が続く学生へ——東洋医学の「腎」で考える、大学ができる支援
- 後期に欠席が増えた学生への声かけ——東洋医学で読み解く「秋の気分の落ち込み」と大学ができる学生支援
- 梅雨前のだるさに「ハトムギ」——湿邪を払い、脾を整える一杯の食養生
※本記事は東洋医学の考えに基づく養生の知恵を紹介するものであり、医療行為の代替を推奨するものではありません。症状がある方は必ず医療機関を受診してください。
