ストレスで胃が痛い人へ——東洋医学が教える「肝胃不和」と今日からできる養生法

同じような事を、毎日書いているなあ。そう思う方がいらっしゃるでしょう。
原因は様々なのに、同じような薬が処方される現実。
これが問題だと思っているのです。

症状に合わせて処方される西洋医学(簡単に書きすぎですが)、体に合わせて根本を修正する東洋医学。
これをわかって欲しいのです。


会議の前になるとキリキリ痛む。嫌な相手からのメールを見た瞬間、みぞおちが重くなる。日曜の夜、月曜の仕事を思い浮かべた途端に胃がムカムカする——。そんな経験を繰り返している方は少なくないのではないでしょうか。病院で胃カメラを受けても「特に異常はありません」と言われ、処方された胃薬を飲んでもスッキリしない。それでもストレスを受けるたびに胃は反応してしまう。この「検査では異常なしなのに、ストレスで胃が痛い」という現代病の正体を、今日は東洋医学の視点から読み解いていきます。結論からお伝えすると、東洋医学ではこの状態を「肝胃不和(かんいふわ)」と呼び、胃そのものよりも感情を司る臓の乱れとして捉えます。

西洋医学ではどう考えられているのか

現代医学では、ストレスによる胃の不調は「機能性ディスペプシア」や「神経性胃炎」と診断されることが多い症状です。仕組みとしては、精神的ストレスが自律神経のバランスを乱し、胃酸の分泌過多や胃の蠕動(ぜんどう)運動の異常を引き起こす、と説明されます。治療としてはPPI(胃酸を抑える薬)、消化管運動機能改善薬、抗不安薬などが使われ、加えて「ストレスを溜めないように」「規則正しい生活を」というアドバイスが添えられます。

しかし多くの方が経験されているように、薬を飲んでいる間は楽でも、やめるとぶり返す。そして何より、「ストレスを溜めるな」と言われても、現代社会で生きている限り溜めずにいるのは不可能です。ここに西洋医学的アプローチの限界があります。

東洋医学が見る「肝胃不和」——胃痛は胃だけの問題ではない

東洋医学には「肝(かん)」という概念があります。これは西洋医学でいう肝臓そのものではなく、気(エネルギー)の流れをスムーズに保ち、感情をコントロールする働きを担う存在です。イライラ、怒り、プレッシャー、緊張——こうした感情を受け止めるのが、この「肝」です。

そして肝は、木が土を押さえつけるように胃(東洋医学では「脾胃」と呼びます)を制御する関係にあります。これを五行論では「木克土(もっこくど)」と言います。

ここで問題が起きます。ストレスが続くと、肝の気の流れが滞ります。これを「肝気鬱結(かんきうっけつ)」と呼びます。ガス欠ではなく、交通渋滞のような状態です。滞った気はやがて行き場を失い、木が暴れて土を攻撃するように、胃へと押し寄せていきます。この状態が「肝気犯胃(かんきはんい)」、すなわち肝胃不和です。

この視点に立つと、なぜ胃薬が根本的に効かないのかが見えてきます。痛んでいるのは胃ですが、暴れているのは肝だからです。胃をなだめるだけでは、元栓は閉じられません。だから「ストレスで胃が痛い」という悩みは、感情の出口が詰まっているサインとして読み解く必要があるのです。

肝胃不和のサインは胃痛だけではありません。ため息が増える、脇腹が張る、喉に何かが詰まった感じがする(梅核気)、げっぷやガスが多い、食欲にムラがある。これらが揃っていたら、まさに肝の気が滞っている状態と考えられます。

今日からできる養生法——「流す」「緩める」「温める」

肝胃不和の養生は、薬でねじ伏せるのではなく、滞った気を流し、張りつめた身体を緩めることが基本です。

1.深呼吸で横隔膜を緩める ストレスを感じている時、呼吸は必ず浅くなっています。鼻から4秒吸い、口から8秒かけて細く長く吐く。これを朝晩3分ずつ。吐く息を長くすることで副交感神経が優位になり、肝気が動き出します。

2.香りのある食材で気を巡らせる 肝気鬱結には「理気(りき)」の食材、つまり気を巡らせる香り高い食材が効きます。みかんやゆずの皮、しそ、三つ葉、春菊、セロリ、ミント、ジャスミン茶など。特に4月の今、旬の春菊や三つ葉は理気食材の代表格です。温かい味噌汁に刻んで散らすだけで、立派な養生食になります。

3.胃を冷やさない、胃を働かせすぎない 肝に攻撃されている胃は、すでに疲弊しています。冷たい飲み物、生野菜、遅い時間の食事は避けてください。朝はお粥や具だくさん味噌汁など、温かくて消化の優しいものを。夜はできれば20時までに食事を済ませ、胃を休ませてあげましょう。

4.「合谷(ごうこく)」と「太衝(たいしょう)」を押す 手の親指と人差し指の付け根にある合谷、足の親指と人差し指の骨の間を辿った窪みにある太衝。この二つを合わせて「四関穴(しかんけつ)」と呼び、気の巡りを改善する代表的なツボです。痛気持ちいい強さで、片側1分ずつ。1日に何度でも。
絵のセンスは…………..ごめんなさい。

5.夜、空を見上げる これは私自身がおすすめしている習慣です。夜、窓を開けて空を見上げる。たった30秒でいい。視線を上げる行為そのものが、うつむきがちな気を上へ動かすのです。肝の気は、上へ伸びていきたがる木の性質を持っています。物理的に視線を上げることは、そのまま養生になります。

まとめ——「胃を治す」のではなく「気を整える」

ストレスで胃が痛いという現代病は、胃の病気ではなく感情の通り道が渋滞している合図です。だから、目指すのは「治す」ではなく「整える」こと。胃をなだめる前に、肝の気を流してあげる。食材と呼吸とツボで、少しずつ滞りをほどいていく。薬を否定するものではありません。ただ、薬が効かない痛みにこそ、養生の知恵が寄り添えると私は信じています。ストレスはゼロにできませんが、受け流す身体は作れます。


※本記事は東洋医学の考えに基づく養生の知恵を紹介するものであり、医療行為の代替を推奨するものではありません。症状がある方は必ず医療機関を受診してください。


花粉症に効果てきめん、インドネシアのジャムウティー事件

「買ってきてくれない?」

インドネシアに頻繁に出張していた頃の話だ。

ジャムウティー。聞いたことはあった。SNSで「30年来の花粉症がピタリと止まった」「泥水みたいにまずいけど、クソ効く」と話題になっていた、インドネシアの伝統的な漢方茶だ。150gで6,000円。1杯あたり120円。安くはないが、毎年の花粉症の地獄を思えば試してみたくなる気持ちはわかる。

で、現地に着いて、インドネシア人の同僚や取引先に聞いてみた。

「ジャムウティーって、花粉症に効くの?」

返ってくる答えは、一様にこうだ。

「え? そんな効果、聞いたことないけど」


インドネシアでの「ジャムウ」の立ち位置

インドネシアで「JAMU(ジャムウ)」と言えば、日本でいう漢方のようなものだ。ウコンや生姜、各種ハーブを煎じた伝統的な飲み物で、街角にはジャムウ売りのおばちゃんがいるし、コンビニにもジャムウ系のドリンクが並んでいる。

ただ、現地の人たちにとってジャムウは「お腹の調子を整える」「疲れを取る」「体を温める」といった日常的な健康飲料であって、「花粉症を劇的に治す魔法の薬」という認識はない。

そもそもインドネシアにはスギ花粉がない。花粉症という概念自体が日常にない国で、「花粉症に効く」と言われても、現地の人はきょとんとするしかない。

「日本人が『めちゃくちゃ効く』って大騒ぎしてるんだけど」と言っても、「へえ、そうなんだ」くらいの反応だった。

この時点で、私の中にはうっすらと違和感があった。


効きすぎるものには、理由がある

帰国後、仕事仲間には「現地の人は花粉症への効果なんて知らないよ」と伝えたが、「でも実際に効いてるから」と一蹴された。まあ、効いているなら本人にとってはそれが正義だ。理屈はどうあれ、症状が消えるなら救いだろう。

しかし、時を同じくして、あのニュースが飛び込んできた。

2023年4月12日、国民生活センターが発表。

大阪の株式会社「香塾」が輸入・販売していた「ジャムー・ティー・ブラック」から、医薬品成分であるステロイド(副腎皮質ステロイド)が検出された、と。

事の発端は、ある利用者が花粉症の劇的な改善を喜んでいたところ、別の疾患で通院中の血液検査で異変が見つかったことだった。ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)やコルチゾールの数値が異常に低い。副腎機能が抑制されている。お茶をやめたら、数値は速やかに正常に戻った。

つまり、こういうことだ。

「天然ハーブ100%のお茶」と謳いながら、実はステロイド薬が混入されていた。

花粉症がピタリと止まったのは、ウコンや生姜の力ではなく、ステロイドが効いていただけだった。


現地の人が「知らない」と言った理由

この事件を知った瞬間、インドネシアの同僚たちの反応が腑に落ちた。

彼らは正しかったのだ。

本来のジャムウには、花粉症を「劇的に」止める力はない。体を温め、免疫を少しサポートする ── それがジャムウの本来の役割だ。「飲んだ瞬間に鼻水が止まる」ようなものではない。

現地の人が「そんな効果、聞いたことない」と言ったのは、彼らがジャムウの本来の実力を知っているからだ。本物のジャムウを飲んでいる人たちが「そんなはずない」と言うものが、なぜ日本で「劇的に効く」のか。答えは、そこに本来入っているはずのないものが入っていたからだ。


製造業30年の嗅覚

製造業に30年いると、「うまい話」には鼻が利くようになる。

品質が突然劇的に改善した ── 本当にプロセス改善のおかげか? 実は検査基準を変えただけじゃないのか。コストが突然下がった ── 本当に効率化か? 実は材料をこっそり変えていないか。

ものづくりの世界では、「結果が良すぎる時こそ疑え」は鉄則だ。

ジャムウティー事件も同じ構造だ。「30年来の花粉症が一発で治る天然ハーブティー」。この文面を工場の品質報告書に置き換えれば、即座に赤旗が立つ。

結果が原因に対して不釣り合いな時、そこには見えていない変数がある。


教訓:「効く」と「治る」は違う

この事件から得た教訓は、ビジネスにも人生にも通じる。

「効く」と「治る」は、まったく別のものだ。ステロイドは炎症を「抑える」。症状は消える。だが、花粉症の原因である免疫の過剰反応そのものは何も変わっていない。薬をやめれば元に戻る。そして長期間のステロイド摂取は、副腎機能を抑制し、別の健康リスクを生む。

これは組織の課題にも当てはまる。

研修を一発やって「従業員の意識が変わりました」と報告する。本当か? 表面的な行動が変わっただけで、根本的な考え方は変わっていないのではないか。そしてその「一発の研修」がステロイドのように、見せかけの改善を作り出しているだけではないか。

本当に「治す」には、時間がかかる。根気がいる。地味な積み重ねが必要だ。

まさに、乗り越えられない試練はない ── ただし、近道もない。


あの仕事仲間のその後

ちなみに、ジャムウティーを頼んできた仕事仲間はどうなったか。

事件発覚後、さすがにジャムウティーはやめた。「あんなに効いてたのに、ステロイドだったのか」としばらく落ち込んでいたが、結局その後、免疫は肝臓だ!!と、緑豆黒酢を試している。

泥水のような魔法の一杯より、毎日8粒の地道な治療。

結局、本物の解決とは、そういうものなのだと思う。


本稿は筆者の個人的な体験と見解に基づいています。

Patchingworker keiken.blog ── 乗り越えられない試練はない

ストレスで胃が痛い、眠れない——それは「気のせい」ではなく「肝」の悲鳴です

妻の痛みと麻痺の治療法探しで得た知識をお分けします

中医でも治療家でも、ましてや医師でもない私が、偉そうに情報発信することに戸惑いがありました。

ただ、妻の症状を治す方法がないと言われ続けながら、探し回り、学んで効果を感じられた事だけであればご迷惑にならないと思い始めました。

最適な方法に辿り着けないで困っている人が多く、諦める=苦しみ続ける、という選択をしている方が多く存在することを知っています。

痛みや麻痺は本当に辛い症状ですが、花粉症、偏頭痛、アトピー性皮膚炎、慢性副鼻腔炎、咳喘息、化学物質過敏症、自律神経失調症、パニック障害、慢性便秘、慢性下痢、緊張型頭痛、BPPV、CPSP等々、原因不明であったり、うまく付き合うしかないと言われがちな症状。

リリカの副作用に追い詰められ、薬をやめる決断をした時の気持ち、家族の思い、薬を抜く際の幻覚、見守るしかない家族。薬をうまく抜くことが出来ても、痛みが和らぐわけでもない出口のない不安と怒り。

そんな症状で悩む人につけ込んでくるMLMの、効かないサプリや高価なパッチなど。藁をも掴む思いの本人と家族の希望を粉々にする。

中医学や東洋医学は、西洋医学の限界を感じていない方々にとっては、効果の薄い気休め程度に写っていると思います。実際に私もそんな考えでした。

医者にかかっても治らない、ドクターショッピングをしても同じことを言われる(結局解決しない)。そんな状況で、八方塞がり感をお持ちの方には、希望になるかもしれません。

ここでご紹介する方法は、Amazonなどで買える食材が多く、高価なものは少ないです。
おすすめのブランドや買い方は、コメント欄からご依頼いただければ、できる限りお答えいたしますが、アフェリエイトは設定しませんので、ご自分でお買い求めいただく様お願いしております。

テーマを設定して、知りうる限りを時間をかけてご紹介してゆきます。


仕事のストレスで体調を崩す——よくある話、でも原因は?

「最近、胃の調子が悪くて」「夜中に何度も目が覚める」「些細なことでイライラしてしまう」

こうした不調を抱えながら、「まあ、ストレスだよね」と自分を納得させていませんか? 病院に行っても「異常なし」と言われ、「気のせいかな」と思うこともあるかもしれません。

でも、その不調は決して「気のせい」ではありません。

東洋医学の視点から見ると、ストレスは確実に内臓に影響を与えます。そして、その中心にあるのが「肝(かん)」という臓腑なのです。


西洋医学の「自律神経」、東洋医学の「肝」

西洋医学では、ストレスによる不調は主に「自律神経の乱れ」として説明されます。交感神経と副交感神経のバランスが崩れることで、胃腸の不調、不眠、動悸、肩こりなど、さまざまな症状が現れるとされています。

この説明はもちろん正しいのですが、「では、どうすれば自律神経を整えられるのか」という問いに対しては、「ストレスを減らしましょう」「よく寝ましょう」といった、実行が難しいアドバイスに終わることも少なくありません。

ここで東洋医学の視点が役に立ちます。


東洋医学が教える「肝」と感情の深い関係

東洋医学では、五臓(肝・心・脾・肺・腎)がそれぞれ特定の感情と結びついていると考えます。

  • → 怒り、イライラ、ストレス
  • → 喜び、興奮
  • → 思い悩み、くよくよ
  • → 悲しみ、憂い
  • → 恐れ、不安

中でも「肝」は、気(き)の巡りを司るという重要な役割を担っています。気とは、身体を動かすエネルギーのようなもの。肝は、この気を全身にスムーズに巡らせるポンプのような働きをしているのです。

ストレスがかかると何が起こるか

過度なストレスがかかると、肝の気を巡らせる機能が滞ります。これを東洋医学では「肝気鬱結(かんきうっけつ)」と呼びます。いわば、気の渋滞が起きている状態です。

この「肝気鬱結」が起こると、以下のような症状が現れます:

  • イライラ、怒りっぽくなる(気が上に昇りやすくなる)
  • ため息が増える(詰まった気を出そうとする身体の反応)
  • 胸や脇腹の張り(気の滞りが物理的な圧迫感として現れる)
  • 胃腸の不調(肝の気が脾胃を攻撃する「肝脾不和」という状態)
  • 不眠、夢が多い(気の乱れが心神を乱す)
  • 女性の場合は月経不順やPMS(肝は血を蔵し、月経とも深く関わる)

「胃が痛い」という症状一つとっても、東洋医学では「肝の気が脾胃を侵している」という具体的なメカニズムで説明できるのです。


今日からできる「肝」を整える養生法

では、滞った肝の気をどう巡らせればよいのでしょうか。薬に頼らなくても、日常生活でできることがたくさんあります。

1. 身体を動かして気を巡らせる

気は動くことで巡ります。デスクワークで一日中座っていると、気は確実に滞ります。

  • おすすめ:散歩、ストレッチ、ヨガなど、激しすぎない運動
  • ポイント:「義務」としてではなく、「気分転換」として行うこと

特に朝の散歩は、肝が活発になる時間帯(午前1時〜3時に肝は血を蔵し、日中に気を巡らせる)と相性が良く、一日の気の巡りを助けます。

2. 深い呼吸で気を下ろす

ストレスで気が上に昇ると、肩が凝り、頭に血が上り、眠れなくなります。意識的に深い呼吸をすることで、上がった気を下に降ろすことができます。

  • やり方:鼻から4秒吸い、口から8秒かけてゆっくり吐く
  • 回数:3〜5回を1セット、気がついた時に

3. 酸味のある食べ物を取り入れる

東洋医学では、酸味は肝に入るとされています。適度な酸味は肝の働きを助けます。

  • おすすめ食材:梅干し、レモン、酢の物、柑橘類
  • 注意:酸味の取りすぎは逆効果。あくまで「適度に」

4. 香りの良いものでリフレッシュ

肝気の滞りには、香りで気を巡らせる「理気(りき)」という方法が有効です。

  • おすすめ:柑橘系のアロマ、ジャスミン茶、ミントティー
  • 食材では:セロリ、三つ葉、紫蘇、春菊など香りの強い野菜

5. 「我慢しすぎない」という養生

肝気鬱結の最大の原因は「感情の抑圧」です。言いたいことを言えない、我慢し続ける——これが肝を最も傷つけます。

すべてを吐き出す必要はありませんが、信頼できる人に話を聞いてもらう、日記に書き出す、など、感情の出口を作ることが大切です。


「治す」のではなく「巡らせる」

ストレスをゼロにすることは、現代社会では不可能に近いでしょう。しかし、ストレスで滞った気を巡らせることは、今日からでもできます。

東洋医学の養生は、「病気を治す」ことよりも「身体を整える」ことを重視します。気が巡れば、胃の調子も、眠りの質も、自然と整っていきます。

「ストレスだから仕方ない」と諦めるのではなく、「だからこそ肝を労わろう」と考えてみてください。あなたの身体は、必ず応えてくれます。


※本記事は東洋医学の考え方に基づく養生の知恵を紹介するものであり、医療行為の代替を推奨するものではありません。症状がある方は必ず医療機関を受診してください。


なぜ私が養生を語るのか——原点ストーリーを読む

痛みという事象に囚われすぎた過去——「消す」ことばかり追いかけて、見失っていたもの

家内が脳卒中後疼痛(CPSP)と診断されてから、私はひたすら「痛みを消す方法」を探し続けました。

男性なら我慢できないレベルの歯痛が、四六時中、休みなく続く。右半身麻痺、失語症、右下視野欠損に加えて、この痛み。目の前で苦しむ家内を見ながら、私にできることは「次の手」を探すことだけでした。

振り返れば、あの時期の私は完全に「痛みを消す」ということに囚われていました。

痛みさえなくなれば、すべてが好転する。痛みさえ止まれば、家内は笑顔を取り戻せる。そう信じて、あらゆる手段に手を伸ばしました。

SCS(脊髄刺激装置)の埋め込み

脊髄刺激療法(SCS)にも踏み切りました。

脊髄に電極を埋め込み、微弱な電気刺激で痛みの信号を遮断する。外科的な処置を伴う、いわば「最後の手段」に近い治療法です。

体に装置を埋め込むという決断は、軽いものではありません。家内の身体にメスを入れることへの不安、それでも「これで痛みが和らぐなら」という期待。手術を決めるまでに何度も話し合いました。

結果についてここで詳しくは書きませんが、脳卒中後疼痛という痛みの根深さを改めて思い知らされました。末梢からのアプローチでは、脳が作り出す痛みには太刀打ちできない。その事実が、また一つ確認されたのです。

鍼灸——「効かない」と思い込んでいた

鍼灸にも多数通いました。

東洋医学の鍼灸なら、西洋医学とは違う切り口で痛みに届くかもしれない。そう期待して、何軒もの鍼灸院を回りました。YNSA(山元式新頭鍼療法)も試しました。頭皮のツボに鍼を打つことで、脳卒中後の症状に効果があるとされる療法です。

しかし、どこに行っても劇的な変化は感じられませんでした。施術直後は少し楽になったような気がしても、翌日には元に戻る。その繰り返しで、正直なところ「鍼灸というもの自体が効かないのだ」と思い込むようになっていました。

この思い込みが間違いだったと気づくのは、ずっと後のことです。

整体・カイロプラクティック、そしてサプリメント

カイロプラクティック、整体、KEN YAMAMOTO式の手技療法も試しました。身体の歪みを整えることで痛みが軽減するのではないか。そう期待して通いました。

サプリメントも数え切れないほど試しました。痛みに効くとされるもの、神経を修復するとされるもの。中にはMLM(ネットワークビジネス)で勧められたものもありました。藁にもすがる思いでいると、「これが効く」という言葉がどれほど魅力的に聞こえるか。善意で勧めてくれる人もいれば、そうでない人もいました。

結果は、どれも無意味でした。

なぜ、何も効かなかったのか

これだけのことを試して、なぜ何も効かなかったのか。

今になって思うのは、私が「痛み」という事象そのものに囚われすぎていたということです。

痛みを消す。痛みを抑える。痛みを遮断する。痛みを感じなくする。すべてのアプローチが「痛み」に直接向かっていました。痛みという症状を、ピンポイントで消そうとしていた。

でも、身体はそういうふうにはできていない。

痛みは結果です。身体のどこかが歪み、内臓が弱り、気血の巡りが滞った結果として、痛みが現れている。痛みだけを消そうとするのは、火災報知器の音がうるさいからといって報知器を壊すようなものです。火元はそのままなのに。

私は火元を見ていなかった。火災報知器ばかり叩いていた。

「体を整える」という基本

阿久沢先生と出会って、初めて「体を整える」という言葉の意味を理解しました。

阿久沢先生の鍼灸は、それまで通った鍼灸院とは根本的に違いました。痛みに直接アプローチするのではなく、身体全体の状態を見て、内臓の働きを整え、気血の巡りを助ける。YNSAの手法も治療の一部として使うことがありますが、それは全体を整える中での手段であって、「痛みを消す道具」としてではありません。

阿久沢先生に出会うまで、鍼灸は効かないものだと思っていました。しかし実際には、鍼灸そのものが効かなかったのではなく、「痛みを消すための鍼灸」が効かなかっただけだったのです。

身体を整えるための鍼灸は、全く別のものでした。

私が学んだこと

何年もかけて、複数のペインクリニック、神経ブロック注射、リリカの最大量処方、SCSの埋め込み、多数の鍼灸院、YNSA、カイロプラクティック、整体、KEN YAMAMOTO式、数え切れないサプリメントを試しました。

かけた費用も、時間も、身体への負担も、精神的な消耗も、計り知れません。

しかし、この遠回りがなければ、「痛みを消すのではなく、体を整える」という考え方に辿り着けなかったのも事実です。

もしこの記事を読んでいるあなたが、慢性的な痛みを抱えていて、あらゆる治療法を試しても改善しなくて、もう打つ手がないと感じているなら。一度だけ、視点を変えてみてほしいのです。

痛みを消すのではなく、身体を整える。症状を叩くのではなく、火元を見る。壊れた部分を修理するのではなく、身体全体の巡りを助ける。

それが養生という考え方です。

壊れたところにパッチを当てながら、それでも前に進む。それが、私たち夫婦が今歩いている道です。

私たちに起きた変化

家内の痛みをなんとかしようと悪戦苦闘していたこの数年間に、いくつかの変化がありました。

2025年3月12日、父が93歳の生涯を閉じました。老衰でした。

その数日後に、母親の病気の影響を受けて神経再生研究の道を選んだ娘が結婚しました。

本当に難しい、針の穴に糸を通すような日程のやりくりでしたが、葬儀も結婚式も滞りなく行うことができました。

少し後に大切な仕事の仲間がこの世を去りました。私より一回りも若いのに、癌で亡くなりました。

横浜の自宅から、できる限り埼玉県川越市にある父が眠る墓を参ることにしているのですが、奇しくも彼の墓が高尾にあり、通り道にあります。今日も参ってきました。

そして、体を整える尊敬できるプロである阿久澤先生と、中医学の権威である神山道元先生に出会うことができました。

仕事でも数々の出来事が重なり、昔や現在作った点、すなわち全く別のところで必死に取り組んできた様々な事柄が、次から次へと結び付き始めて、線になり続けています。

そしてそれぞれの線がうまく絡み合いながら、絶妙なタイミングで結び付き始めました。

以前、私と仕事仲間がインドネシアに出張する際に、仲間の方の方角が悪すぎるので注意してください!!と忠告してくださった占い師の予言を書いたのですが、泊まっていたホテルの隣のSOGOが火事になり、重度の脱水症で仲間が入院するという結末が待っていました。

その占い師の予言で、あなたの後ろに雪山が見えて、そこで活躍している姿が映っています!!という、インチキくさいものがあります。
が、ユタ州に本社を置くある企業と、深い事業を推し進めているところです。本社の裏に山が聳え立ち、冬は真っ白に化粧する山です。

もう一社、アメリカの会社と良い関係を築いていて、その会社の本社がある場所は、家内がアメリカで倒れしばらく入院していた病院から程近い場所にあります。

思い出したくなかった深い悲しみを背負ったあの地に、ビジネスパートナーとして戻れる。それはハッピーエンドを意味しているのではと、期待しています。

Connecting Dots 〜 狙わずに目の前の仕事を全力で頑張れば、いつか点と点が繋がり出すよ!!っていう、スティーブ・ジョブスが母校の卒業式に招かれた際に卒業生に送ったメッセージ。

歳を重ねないとわからない事って、たくさんあるんです。

老害と言われる前に、たくさん恩返ししたいと思っている私たちです。


※本記事は個人の体験に基づくものであり、特定の治療法や医療機関を否定するものではありません。治療法の選択は、主治医と十分にご相談の上で行ってください。

※本サイトの情報は東洋医学の考え方に基づく養生の知恵を紹介するものであり、医療行為の代替を推奨するものではありません。症状がある方は必ず医療機関を受診してください。

WordPress.com Blog.

ページ先頭へ ↑