ストレスで胃が痛い・息が浅い——阿久沢先生に学ぶ「内臓を緩めるツボと呼吸法」

新年度が始まって数週間。新しい環境、新しい人間関係、慣れない仕事……。気づけば胃がキリキリする、肩が耳まで上がっている、呼吸が浅くなっている。そんな自分に気づいたことはありませんか?

「ストレスは気持ちの問題だから、気の持ちようで何とかなる」——そう思って我慢していませんか? 実は、ストレスがいちばん最初に現れるのは、心ではなく「身体」なのです。

西洋医学が見る「ストレスと身体」

西洋医学では、ストレスによる身体症状は「自律神経の乱れ」として説明されます。交感神経が優位になりすぎることで、胃酸の分泌異常、筋肉の緊張、血圧の上昇などが起こる。治療としては、抗不安薬や胃薬が処方されることが多いでしょう。

もちろんそれも大切なアプローチですが、「薬を飲んでも、またストレスを感じるとすぐ戻ってしまう」という経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

東洋医学で見る「ストレスと内臓」——肝と脾の関係

阿久沢先生は、ストレスによる身体の不調をこう説明されます。

「ストレスで最初にダメージを受けるのは**肝(かん)です。肝は気の巡りを司る臓器。ここが詰まると、気滞(きたい=気の流れが滞った状態)が起こります。そして肝の気が暴走すると、隣にある脾(ひ=消化吸収を司る臓器)を攻撃してしまう。これを東洋医学では肝脾不和(かんぴふわ)**と呼びます」

つまり、ストレス→肝の気滞→脾への攻撃→胃腸の不調、という流れが身体の中で起きているのです。胃が痛いからといって胃だけを治しても根本解決にならないのは、このためです。

さらに、気滞が続くと呼吸も浅くなります。呼吸が浅くなれば全身に気が行き渡らず、だるさや頭のモヤモヤ感にもつながっていきます。

今日からできる「内臓を緩める」3つの養生法

阿久沢先生が教えてくださった、ストレスで固まった身体を緩めるための具体的な方法をご紹介します。

①「太衝(たいしょう)」のツボ押し——肝の気を巡らせる

場所:足の甲、親指と人差し指の骨が合流する手前のくぼみ。

やり方

  1. 親指の腹をツボに当てます
  2. 「痛気持ちいい」程度の圧で、ゆっくり3秒押して3秒離す
  3. これを左右それぞれ5回ずつ繰り返します
  4. 朝と寝る前の1日2回が目安です

阿久沢先生いわく、「太衝は”肝の原穴(げんけつ)”といって、肝の状態がダイレクトに反映されるツボ。ストレスが溜まっている人は、ここを押すとかなり痛く感じるはずです。痛みが和らいでくれば、肝の気が巡り始めたサインです」。

②「中脘(ちゅうかん)」への手当て——脾胃を温めて緩める

場所:おへそとみぞおちのちょうど中間点。

やり方

  1. 仰向けに寝て、両手のひらを重ねて中脘に当てます
  2. 押し込むのではなく、手のひらの温もりをじんわり伝えるイメージで
  3. そのまま2〜3分、ゆっくり呼吸しながら手を当て続けます
  4. 食後すぐは避け、空腹時や就寝前がおすすめです

「押す」のではなく「温める」のがポイントです。ストレスで冷えて固まった脾胃を、手の温かさでそっとほどいてあげるイメージで行ってください。

③「四七(しひち)の呼吸法」——気の巡りを整える

阿久沢先生が患者さんに最もよく指導されるという呼吸法です。

やり方

  1. 楽な姿勢で座り、目を軽く閉じます
  2. 鼻から4秒かけてゆっくり吸います(お腹が膨らむように)
  3. 7秒かけて口からゆっくり吐きます(お腹がへこむように)
  4. これを5〜10回繰り返します

「吐く息を長くすることで副交感神経が優位になり、肝の気が自然と降りていきます。東洋医学的に言えば、上に昇りすぎた肝気を下に降ろす作業です。頭に血が上った感じ、イライラ、肩こり——これらはすべて気が上に溜まっている状態。呼吸で下に降ろしてあげましょう」と阿久沢先生は話されます。

まとめ——ストレスは「我慢」ではなく「身体から整える」

ストレスへの対処というと、つい「考え方を変える」「気にしない」といった精神論に向かいがちです。しかし東洋医学の視点では、ストレスはまず身体に現れ、身体から整えることができるもの。

今日ご紹介したツボ押し、手当て、呼吸法は、どれも特別な道具は要りません。通勤電車の中で太衝を押す、寝る前にお腹に手を当てる、会議の前に深い呼吸をする——そんな小さな養生の積み重ねが、ストレスに負けない身体を作っていきます。

「治す」のではなく「整える」。今日の帰り道、まずは一つ、試してみてください。


※本記事は東洋医学の考えに基づく養生の知恵を紹介するものであり、医療行為の代替を推奨するものではありません。症状がある方は必ず医療機関を受診してください。

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