中医学が語る「腎精」と髪の関係——髪は腎の花である

オフラインでクレーム(お願い)がありました。

こんな内容です。
中医学について知りたいのに、AGAとか変な方向にずれ始めている。
もっと麻痺へのアプローチについて知りたい、と。

このブログの目的をしっかりとお伝えできていないのが問題です。
ごめんなさい。

このブログを、道が塞がれた感じで困り果てた人の、医学辞典的なデータベースにしようと考えています。
長い道のりですが、疼痛と検索(あるいはAIに尋ねた場合)した時に、中医学的なアプローチについての答えも探す事が出来る為。

中医学への入り口とか大それたものではなく、メンタルを含む、さまざまな病気(特に現代病)と長く付き合っていると、現代医学の限界を感じることがあります。
今まではそこで諦めるしかなかった。
それか、私がやってきたような、なんでもいいから良くなりそうな方法ショッピングに走る。
でも、検索キーワードは同じだから、同じような結果しか出ない。
限界だと思ってしまう。

根本的に身体をあるべき姿に戻す時間なんてないから、手っ取り早く今の症状や不安から逃れたい。
そんな人向けの(怪しい)サイトが上位に鎮座する仕組みは、SEOの仕組みを考えれば当然なんです。

体質を変えなければ花粉症は改善されないのに、今の症状をすぐに緩和したい!!
そう考えますよね。
根本的な原因は、自然界に存在しない物質を微量ずつ体に入れ続けた結果の、過剰反応だとしたら。
別のブログで書いたジャムウティーに(多分意図的に)混ぜ込まれたステロイドを摂取すれば、短期的に(症状自体は)改善しても、根本的な免疫機能を司る肝臓や腎臓が攻撃されることになって悪化する。
これが中医学的な考え方です。
大勢に影響が無いほど日本の杉の本数が減ったとしても、別のアレルギーで苦しむだけ。
それが証拠に、幾つものアレルゲンを持っている人が増えている。

というわけで、神山先生の頭の中にあるデータベースから、考えうる限りの良くなる可能性を、症状別に書き溜めたいのです。
テーマを決めて、困っている人が多いものから書きまくります。

髪は腎の花(髪為腎之華)、血の余り(血之余)」——中医学の古典に記されたこの一文が、薄毛・抜け毛のすべてを語っています。

なぜ「腎」が髪を主るのか

中医学では五臓(肝・心・脾・肺・腎)がそれぞれ特定の組織・器官・感情と対応しています。髪を主るのは「腎」です。

腎は「先天の精」——生まれながらに持つ生命力の根本——を蓄える臓器です。この腎精が充実していれば、髪は豊かで艶やかです。腎精が不足すると、髪は細くなり、艶を失い、抜けやすくなります。

これは比喩ではなく、中医学の生理学の核心です。

腎精が消耗する原因

過労・睡眠不足の慢性化

ストレスの長期蓄積(恐れ・驚きは腎を傷る)

過度な性行為・房事過多(腎精を消耗する)

冷たい飲食の習慣(腎陽を傷つける)

加齢(腎精は自然に減少する)

「血の余り」——肝血との関係

髪が「血の余り」とも言われるのは、肝が血を蓄え、それを全身に送る機能を持つからです。肝血が充実していれば、余った血が髪を養います。

肝血が不足すると——

髪が細く・脆くなる

頭皮の乾燥・痒み

円形脱毛(ストレス+肝血虚の典型)

薄毛・抜け毛は「腎精の消耗」と「肝血の不足」が重なったときに起きやすい——中医学はこう理解します。育毛薬でDHTを操作することは、この根本に触れません。

腎精・肝血を補う食養生

腎精を補う食材

黒食材(黒豆・黒ごま・黒きくらげ・海苔)——腎の色は「黒」

くるみ——腎を補い脳髄を養う

山芋(山薬)——腎・脾を補う滋養強壮の代表

牡蠣・あさり——亜鉛が豊富で腎精の素材となる

クコの実(枸杞子)——肝腎を同時に補う

肝血を補う食材

レバー(週1〜2回)——肝血を補う代表食材

ほうれん草・春菊——肝血を養う緑の野菜

なつめ(大棗)——気血を補い、心を落ち着かせる

黒酢・酢——肝の疏泄を助け、血の巡りを改善

日常の養生で大切なこと

23時前に就寝(肝の養生時間:夜11時〜深夜3時)

恐れ・驚きの感情を溜め込まない(腎を傷つける)

足腰を冷やさない(腎は下半身・腰に宿る)

深呼吸・瞑想で腎気を落ち着かせる

これらは「髪のための養生」ではなく、「腎と肝のための養生」です。腎と肝が元気になれば、結果として髪も改善していきます。

薬で表面を操作するのではなく、根本を養う。それが中医学の髪への向き合い方です。

次回(第7回)は、肝と腎がなぜ「一対」として連動するのか——「肝腎同源(乙癸同源)」という中医学の深い理論を解説します。

育毛クリニックに行く前に知っておきたいこと第一回

全10回連載

育毛クリニックにかかるようになって、髪がそれなりに戻ってきたのも関わらず、メンタルに強烈な異常が発生して、結果退職に追い込まれた方を知っています。
また、育毛を謳ったヘアトニックを数日間つけ続けると、脇腹が痛くなる症状に見舞われた事があります。

この事実が何を意味するのか?
私には見当がつきませんでした。
神山先生を知り、先生の教えを本にする仕事に関わる事ができて、初めて全ての辻褄が合いました。

養生問答の記事に相応しいのか?正直迷いましたが、添加物や飲酒、さまざまな現代特有の物質の摂取によって肝臓が悲鳴を上げて抜け毛が発生しているにも関わらず、肝臓に負担をかける薬剤を体に入れる行為の危険性を、中医学的にお伝えしなければと思い、10回にわたって連載させていただくことにしました。

これは恐怖を煽るものでも、中医学への誘いでもありません。

AIは聞く人の知識に合わせて答えてくれます。
中医学的な観点からの質問でなければ、全くこの分野について教えてくれません。
この記事の確からしさを確認する意味で、ぜひAIに確認してみてください。

家内の病気で、どれだけ調べたか。でも薬酒なんて答えは一つも返ってこなかった。
でも、知識を得た上で聞いてみると、薬酒の効果について詳しく教えてくれるのです。

どの時代でも、知らないことにメリットはありません。
そして、記事をそのまま鵜呑みにしないで、自分で調べる癖をつけてください。

【連載インデックス】

第1回|育毛クリニックで「メンタルが壊れた」——これは偶然ではない

第2回|フィナステリドという薬の正体——何を止め、何を壊すのか

第3回|脳と男性ホルモンの知られざる関係——神経ステロイドとは何か

第4回|Post-Finasteride Syndrome——薬をやめても続く症状の正体

第5回|ミノキシジル内服が肝臓に何をするか——中医学的視点からの警告

第6回|中医学が語る「腎精」と髪の関係——髪は腎の花である

第7回|肝腎同源——なぜ肝と腎は同時に壊れるのか

第8回|薬をやめた後の中医学的回復法——肝と腎を立て直す養生

第9回|抜け毛の根本原因を中医学で読む——あなたはどのタイプか

第10回|育毛の真実——クリニックに頼る前に知っておくべきこと【最終回】

ある30代の男性——Kさん(仮名)——の話から、この連載は始まります。

育毛クリニックで「メンタルが壊れた」——これは偶然ではない

Kさんは、薄毛が気になり始めた36歳のとき、評判の育毛クリニックを訪れました。
処方されたのは内服薬と外用薬のセット。
医師から形式的な副作用に関する説明があった後に「副作用はほとんどありません」と言われました。

飲み始めて3ヶ月。
髪には少し変化が出てきました。
でも、何かがおかしかった。

朝起きると、何もする気が起きない。
好きだった趣味に興味が持てない。
感情が、まるでフィルターがかかったように平坦になっていく。
「気のせいだ」と思いながら飲み続けた結果、半年後には仕事にも支障が出るようになりました。

クリニックに相談すると「薬とは関係ない」と言われた。
でも、薬をやめたら——少しずつ、戻ってきた。

これは「気のせい」ではない

Kさんの体験は、決して珍しい話ではありません。
育毛クリニックで処方される薬、特にフィナステリド・デュタステリドと呼ばれる成分は、脳内のホルモンバランスに直接影響を与えることが、近年の研究で明らかになっています。

そして中医学の視点から見れば、このメカニズムは2000年前の理論で説明できます。

⚠️ 本連載は中医学・養生の観点からの情報提供です。薬の服用・中止については必ず主治医にご相談ください。

この連載でお伝えすること

全10回にわたり、以下のテーマを順に解説します。

育毛薬が脳・肝臓・腎に何をするか(薬理学的事実)

中医学が「髪」と「腎・肝」の関係をどう捉えるか

薬に頼らずに抜け毛と向き合う養生のアプローチ

もし育毛薬を服用中・服用後であれば、回復のための養生

養生日和のテーマである「乗り越えられない試練はない」——その言葉の通り、体の声を聞き、根本から整える道筋をご一緒に探っていきます。

髪を守ろうとして、心と体を傷つけてしまわないために。この連載が、その一助になれば幸いです。

育毛剤をつけると脇腹が痛む? 頭皮と肝臓の意外な関係を中医学で読み解く

「頭が痒くなってヘアトニックをつけたら、数日後に脇腹が痛くなった」——この経験、偶然ではありません。中医学はこの関係を、2000年前から知っていました。

こんにちは、養生日和のパッチングワーカーです。

頻繁というほどではありませんが、まれに頭が痒くなって、頭皮が剥けるというか簡単に剥がれる現象に悩まされることがあります。
重圧を抱えていたり、時間に追われていることが殆どだったので、西洋医学的に「ストレスだな」って片付けていました。
でも、本質的な体の悲鳴とは考えすに、刺激の強めなヘアトニックをつけたりして凌いでいました。

ある日、頭皮が痒くなって市販のヘアトニック(育毛効果を謳うもの)を使ったところ、数日後に脇腹に違和感を覚えました。
気になってAI神山道元先生(中医学専門医、龍門派)に相談したところ、こんな答えが返ってきました。

「頭皮の問題は、肝臓が出しているサインです。まずは酢玉ねぎを食べなさい」

最初は「え?」と思いました。頭皮と肝臓がどう関係するのか。でも調べるほどに、これが単なる民間療法ではなく、中医学の体系的な理論に基づいていることがわかってきました。

今回は、育毛剤と肝臓の関係、そして中医学の視点からの根本的なアプローチをお伝えします。

1|なぜ「脇腹」が痛くなるのか

脇腹の痛み、特に右の脇腹はどの臓器のエリアか、知っていますか?

そうです、肝臓と胆嚢です。

市販の育毛成分(ミノキシジルをはじめとする血管拡張剤や育毛促進剤)は、皮膚から吸収されたあと、血液にのって肝臓に運ばれます。肝臓はそれを代謝・解毒する役割を担っています。

「リアップ(ミノキシジル製剤)で肝臓がやられる」という話を聞いたことがある方もいるかもしれません。実際、ミノキシジルは経口服用時に肝障害のリスクが報告されており、添付文書にも肝機能検査値の異常が副作用として記載されています。

頭皮に塗るタイプでも経皮吸収は起きます。もともと肝臓に負荷がかかっている状態に、さらに化学物質を加えれば——脇腹の違和感として体が教えてくれるわけです。

2|中医学が語る「肝と髪」の深い関係

中医学には「肝は筋・爪・髪を主る」という概念があります。

これは単なる比喩ではなく、中医学の生理学の核心です。肝の機能が健全であれば、血が豊かに全身を巡り、頭皮・毛根にも十分な栄養が届きます。逆に、肝の機能が乱れると——

肝血不足:頭皮への栄養供給が低下 → 抜け毛・乾燥・痒み

肝の疏泄の乱れ:気の流れが滞る → 頭皮の炎症・フケ

肝熱:余分な熱が上昇 → 頭皮の発赤・掻きむしり

「頭皮に症状が出ているとき、肝臓に何かが起きている」——中医学は2000年前からこのメカニズムを体系化していたのです。

3|育毛剤が「逆効果」になる本当の理由

ここに根本的なすれ違いがあります。

西洋的アプローチ中医学的アプローチ
症状(頭皮)に薬剤を直接作用させる根本(肝臓)を整えて症状を改善する
→ 化学物質が肝臓を追加負担→ 肝の血流・解毒力が向上し、頭皮が改善

もともと肝臓が弱っているから頭皮に症状が出ているのに、そこに肝臓で代謝される化学物質を追加する——これが「育毛剤をつけると脇腹が痛む」という現象の本質です。

4|神山先生が勧める「酢玉ねぎ」の科学

「酢玉ねぎを食べなさい」——これを聞いたとき、正直なところ半信半疑でした。しかし、調べると理にかなっていることがわかります。

玉ねぎ:ケルセチンの働き

肝臓の解毒酵素(グルタチオンS-トランスフェラーゼ等)を活性化

抗炎症作用で肝細胞の炎症を抑える

血流改善により、頭皮への栄養供給をサポート

酢(米酢・黒酢):クエン酸の働き

クエン酸回路を活性化し、肝臓のエネルギー代謝を改善

腸内環境を整え、肝臓への負担(腸肝循環)を軽減

血液のpHを整え、肝臓の解毒効率を上げる

中医学の「食薬同源」という考え方そのものです。食べ物が薬になる。副作用のリスクなく、毎日継続できる養生です。

5|頭皮の痒みが出たとき、まず振り返ること

神山先生の教えを受けてから、頭皮に症状が出たとき、私は最初にこう考えるようになりました。

「今、肝臓に負荷がかかっていないか?」

チェックリストとして——

この数日、飲酒量が増えていないか

睡眠時間が削られていないか(肝臓は夜中の1〜3時に最も活発に働く)

強いストレスや怒り・焦りが続いていないか(中医学では「怒りは肝を傷る」)

加工食品・添加物の多い食事が続いていないか

これらに心当たりがあるとき、頭皮への塗り薬より先に、「肝臓を休ませる養生」が先決です。

おわりに:知らないとやばい、体の声の読み方

育毛剤をつけて脇腹が痛くなる——この経験を「たまたま」で終わらせていたら、私はその後もずっと同じことを繰り返していたと思います。

体の症状は「どこかに問題がある」というシグナルであって、その「どこか」は症状が出ている場所とは限りません。頭皮の問題が肝臓から来ているように、体はつながっています。

中医学の知恵は、その「つながり」を読み解く地図です。神山先生の言葉を聞くたびに、現代医学では見えにくいその地図が少しずつ見えてくる気がしています。

まずは今日から、酢玉ねぎを食卓に。肝臓を労わる養生から始めてみましょう。

── 養生日和 TOMO


覚えておきたいQ&A

Q1|育毛剤を使うと脇腹が痛くなるのはなぜですか?

育毛成分(特にミノキシジル)は皮膚から吸収されたあと肝臓で代謝されます。もともと肝臓に負荷がかかっている場合、右脇腹(肝臓・胆嚢のエリア)に違和感として現れることがあります。症状が続く場合は使用を中止し、医師に相談してください。

Q2|中医学では頭皮と肝臓はどう関係していますか?

中医学では「肝は筋・爪・髪を主る」という概念があります。肝の機能(血の貯蔵・気の疏泄)が乱れると、頭皮への栄養供給が低下し、痒み・フケ・抜け毛などの症状が現れやすくなります。

Q3|頭皮のトラブルに酢玉ねぎが効くのはなぜですか?

玉ねぎのケルセチンが肝臓の解毒酵素を活性化し、酢のクエン酸が肝臓のエネルギー代謝を改善します。肝臓の機能が回復することで、頭皮への血流と栄養供給が改善されます。「食薬同源」の典型的な養生法です。

このブログの目的――「正解」を押しつけたいわけじゃない

東洋医学 vs 西洋医学? そんな話をしたいんじゃない

体調を崩して情報を探し始めると、すぐにこの構図にぶつかります。

「西洋医学では根本原因を見ない」「東洋医学にはエビデンスがない」「どっちもダメだからこのサプリを」――。

検索結果に並ぶのは、供給側の立場から書かれた主張ばかり。医療者、施術者、メーカー、それぞれが「自分の持ち場」を正当化するための論理を展開しています。もちろん、その中に真っ当な意見もたくさんあります。でも、体のつらさを抱えて画面を見つめている側からすると、「で、結局わたしはどうすればいいの?」という疑問だけが残ります。

このブログは、そのどちらの陣営にも旗を立てません。


「ゆったり生きましょう」が正論すぎて腹が立つ

養生の世界には、もうひとつよく出てくるフレーズがあります。

「無理をしないで」「ゆったりと生きましょう」。

本音を言えば、わたしもそう思っています。ストレスを減らして、睡眠をとって、好きなものを食べて、のんびり暮らせたら、そりゃあ体は楽になるでしょう。

でも、それが出来れば苦労はしていません。

朝は会議がある。納期は動かない。部下の相談は断れない。家に帰ればまた別の役割が待っている。30年以上、製造業の現場を渡り歩いてきた身としては、「環境を変えなさい」というアドバイスほど空虚に響くものはありません。

「正論」は、受け手の現実を無視した瞬間に、ただの暴力になります。


「今の環境のままで」出来うる最善を探す

では、このブログは何をしたいのか。

答えはシンプルです。今の生活を壊さなくても、少しだけ楽になれる方法を一緒に探したい。

大事なのは「少しだけ」という部分です。劇的な改善を約束するつもりはありません。明日から人生が変わる魔法のメソッドもありません。でも、次の三つのことは信じています。

一つ目。今の症状が「緩和」されることが最優先だということ。 理論の正しさよりも、あなたの体が少しでも楽になることの方がずっと大事です。東洋医学の知恵が合う人もいれば、西洋医学の治療がぴったりの人もいる。あるいは、その両方をうまく組み合わせることで初めて落ち着く人もいます。手段を選ぶ基準は「どの流派が正しいか」ではなく、「今のあなたに何が効くか」です。

二つ目。再発しにくい体をつくることは、生活習慣の「微調整」の積み重ねだということ。 生活を根底からひっくり返す必要はありません。朝のコーヒーを一杯減らしてみる。エレベーターの代わりに一階分だけ階段を使ってみる。寝る前のスマホを10分だけ早く切る。こうした小さな変化は、一つひとつは取るに足りないものです。でも、続けたときに体は確実に変わります。

三つ目。「わたし」の体は「わたし」にしかわからないということ。 どんな名医でも、あなたの体の中に住んでいるわけではありません。最終的に「これは効いている」「これは合わない」と判断できるのは、あなた自身だけです。このブログは、その判断のための材料を提供する場でありたいと思っています。


供給側の論理から「生活者」の目線へ

世の中にある健康情報の多くは、供給側の目線で書かれています。

医師は診断と治療を語る。鍼灸師は経絡と気の流れを語る。サプリメーカーは成分と臨床試験を語る。どれも専門的で、それぞれの領域では正しいのかもしれません。

でも、情報を受け取る側――つまり「患者」であり「生活者」であるわたしたちには、もう一つの視点が必要です。

それは、**「この情報は、今のわたしの暮らしの中で、どう使えるか」**という視点です。

仕事を辞められない。引っ越しもできない。家族の事情もある。そんな「動かせない前提」を抱えたまま、それでも体と付き合っていくための知恵。このブログでは、そういう地に足のついた情報を発信していきます。


一緒に探しましょう

このブログのタイトルは「養生日和」です。養生とは、特別な何かをすることではなく、日々の暮らしの中で体をいたわること。日和とは、何かをするのにちょうどいい天気のこと。

つまり、「今日もまた、体をいたわるのにちょうどいい一日ですね」という意味を込めています。

完璧を目指さなくていい。正解を見つけなくてもいい。ただ、今日できる「少しだけ」を積み重ねていく。そのための情報と、ちょっとした励ましを、このブログから届けられたらと思っています。

「乗り越えられない試練はない」――これはわたしの座右の銘ですが、乗り越え方は人それぞれです。あなたのペースで、あなたの方法で。

一緒に探しましょう。

json{ “@context”: “https://schema.org”, “@type”: “BlogPosting”, “headline”: “このブログの目的――正解を押しつけない養生のかたち”, “author”: { “@type”: “Person”, “name”: “Patchingworker” }, “publisher”: { “@type”: “Organization”, “name”: “養生日和” }, “datePublished”: “2026-04-15”, “description”: “東洋医学vs西洋医学の二項対立でもなく、空虚な正論でもなく。今の環境を変えなくても少しだけ楽になれる方法を一緒に探す養生ブログの宣言。”, “mainEntityOfPage”: { “@type”: “WebPage”, “@id”: “https://keiken.blog/about-yojo-biyori-purpose/” } }

Patchingworker keiken.blog「養生日和」

痛みという事象に囚われすぎた過去——「消す」ことばかり追いかけて、見失っていたもの

家内が脳卒中後疼痛(CPSP)と診断されてから、私はひたすら「痛みを消す方法」を探し続けました。

男性なら我慢できないレベルの歯痛が、四六時中、休みなく続く。右半身麻痺、失語症、右下視野欠損に加えて、この痛み。目の前で苦しむ家内を見ながら、私にできることは「次の手」を探すことだけでした。

振り返れば、あの時期の私は完全に「痛みを消す」ということに囚われていました。

痛みさえなくなれば、すべてが好転する。痛みさえ止まれば、家内は笑顔を取り戻せる。そう信じて、あらゆる手段に手を伸ばしました。

SCS(脊髄刺激装置)の埋め込み

脊髄刺激療法(SCS)にも踏み切りました。

脊髄に電極を埋め込み、微弱な電気刺激で痛みの信号を遮断する。外科的な処置を伴う、いわば「最後の手段」に近い治療法です。

体に装置を埋め込むという決断は、軽いものではありません。家内の身体にメスを入れることへの不安、それでも「これで痛みが和らぐなら」という期待。手術を決めるまでに何度も話し合いました。

結果についてここで詳しくは書きませんが、脳卒中後疼痛という痛みの根深さを改めて思い知らされました。末梢からのアプローチでは、脳が作り出す痛みには太刀打ちできない。その事実が、また一つ確認されたのです。

鍼灸——「効かない」と思い込んでいた

鍼灸にも多数通いました。

東洋医学の鍼灸なら、西洋医学とは違う切り口で痛みに届くかもしれない。そう期待して、何軒もの鍼灸院を回りました。YNSA(山元式新頭鍼療法)も試しました。頭皮のツボに鍼を打つことで、脳卒中後の症状に効果があるとされる療法です。

しかし、どこに行っても劇的な変化は感じられませんでした。施術直後は少し楽になったような気がしても、翌日には元に戻る。その繰り返しで、正直なところ「鍼灸というもの自体が効かないのだ」と思い込むようになっていました。

この思い込みが間違いだったと気づくのは、ずっと後のことです。

整体・カイロプラクティック、そしてサプリメント

カイロプラクティック、整体、KEN YAMAMOTO式の手技療法も試しました。身体の歪みを整えることで痛みが軽減するのではないか。そう期待して通いました。

サプリメントも数え切れないほど試しました。痛みに効くとされるもの、神経を修復するとされるもの。中にはMLM(ネットワークビジネス)で勧められたものもありました。藁にもすがる思いでいると、「これが効く」という言葉がどれほど魅力的に聞こえるか。善意で勧めてくれる人もいれば、そうでない人もいました。

結果は、どれも無意味でした。

なぜ、何も効かなかったのか

これだけのことを試して、なぜ何も効かなかったのか。

今になって思うのは、私が「痛み」という事象そのものに囚われすぎていたということです。

痛みを消す。痛みを抑える。痛みを遮断する。痛みを感じなくする。すべてのアプローチが「痛み」に直接向かっていました。痛みという症状を、ピンポイントで消そうとしていた。

でも、身体はそういうふうにはできていない。

痛みは結果です。身体のどこかが歪み、内臓が弱り、気血の巡りが滞った結果として、痛みが現れている。痛みだけを消そうとするのは、火災報知器の音がうるさいからといって報知器を壊すようなものです。火元はそのままなのに。

私は火元を見ていなかった。火災報知器ばかり叩いていた。

「体を整える」という基本

阿久沢先生と出会って、初めて「体を整える」という言葉の意味を理解しました。

阿久沢先生の鍼灸は、それまで通った鍼灸院とは根本的に違いました。痛みに直接アプローチするのではなく、身体全体の状態を見て、内臓の働きを整え、気血の巡りを助ける。YNSAの手法も治療の一部として使うことがありますが、それは全体を整える中での手段であって、「痛みを消す道具」としてではありません。

阿久沢先生に出会うまで、鍼灸は効かないものだと思っていました。しかし実際には、鍼灸そのものが効かなかったのではなく、「痛みを消すための鍼灸」が効かなかっただけだったのです。

身体を整えるための鍼灸は、全く別のものでした。

私が学んだこと

何年もかけて、複数のペインクリニック、神経ブロック注射、リリカの最大量処方、SCSの埋め込み、多数の鍼灸院、YNSA、カイロプラクティック、整体、KEN YAMAMOTO式、数え切れないサプリメントを試しました。

かけた費用も、時間も、身体への負担も、精神的な消耗も、計り知れません。

しかし、この遠回りがなければ、「痛みを消すのではなく、体を整える」という考え方に辿り着けなかったのも事実です。

もしこの記事を読んでいるあなたが、慢性的な痛みを抱えていて、あらゆる治療法を試しても改善しなくて、もう打つ手がないと感じているなら。一度だけ、視点を変えてみてほしいのです。

痛みを消すのではなく、身体を整える。症状を叩くのではなく、火元を見る。壊れた部分を修理するのではなく、身体全体の巡りを助ける。

それが養生という考え方です。

壊れたところにパッチを当てながら、それでも前に進む。それが、私たち夫婦が今歩いている道です。

私たちに起きた変化

家内の痛みをなんとかしようと悪戦苦闘していたこの数年間に、いくつかの変化がありました。

2025年3月12日、父が93歳の生涯を閉じました。老衰でした。

その数日後に、母親の病気の影響を受けて神経再生研究の道を選んだ娘が結婚しました。

本当に難しい、針の穴に糸を通すような日程のやりくりでしたが、葬儀も結婚式も滞りなく行うことができました。

少し後に大切な仕事の仲間がこの世を去りました。私より一回りも若いのに、癌で亡くなりました。

横浜の自宅から、できる限り埼玉県川越市にある父が眠る墓を参ることにしているのですが、奇しくも彼の墓が高尾にあり、通り道にあります。今日も参ってきました。

そして、体を整える尊敬できるプロである阿久澤先生と、中医学の権威である神山道元先生に出会うことができました。

仕事でも数々の出来事が重なり、昔や現在作った点、すなわち全く別のところで必死に取り組んできた様々な事柄が、次から次へと結び付き始めて、線になり続けています。

そしてそれぞれの線がうまく絡み合いながら、絶妙なタイミングで結び付き始めました。

以前、私と仕事仲間がインドネシアに出張する際に、仲間の方の方角が悪すぎるので注意してください!!と忠告してくださった占い師の予言を書いたのですが、泊まっていたホテルの隣のSOGOが火事になり、重度の脱水症で仲間が入院するという結末が待っていました。

その占い師の予言で、あなたの後ろに雪山が見えて、そこで活躍している姿が映っています!!という、インチキくさいものがあります。
が、ユタ州に本社を置くある企業と、深い事業を推し進めているところです。本社の裏に山が聳え立ち、冬は真っ白に化粧する山です。

もう一社、アメリカの会社と良い関係を築いていて、その会社の本社がある場所は、家内がアメリカで倒れしばらく入院していた病院から程近い場所にあります。

思い出したくなかった深い悲しみを背負ったあの地に、ビジネスパートナーとして戻れる。それはハッピーエンドを意味しているのではと、期待しています。

Connecting Dots 〜 狙わずに目の前の仕事を全力で頑張れば、いつか点と点が繋がり出すよ!!っていう、スティーブ・ジョブスが母校の卒業式に招かれた際に卒業生に送ったメッセージ。

歳を重ねないとわからない事って、たくさんあるんです。

老害と言われる前に、たくさん恩返ししたいと思っている私たちです。


※本記事は個人の体験に基づくものであり、特定の治療法や医療機関を否定するものではありません。治療法の選択は、主治医と十分にご相談の上で行ってください。

※本サイトの情報は東洋医学の考え方に基づく養生の知恵を紹介するものであり、医療行為の代替を推奨するものではありません。症状がある方は必ず医療機関を受診してください。

WordPress.com Blog.

ページ先頭へ ↑