ストレスで胃が痛い人へ——東洋医学が教える「肝胃不和」と今日からできる養生法

同じような事を、毎日書いているなあ。そう思う方がいらっしゃるでしょう。
原因は様々なのに、同じような薬が処方される現実。
これが問題だと思っているのです。

症状に合わせて処方される西洋医学(簡単に書きすぎですが)、体に合わせて根本を修正する東洋医学。
これをわかって欲しいのです。


会議の前になるとキリキリ痛む。嫌な相手からのメールを見た瞬間、みぞおちが重くなる。日曜の夜、月曜の仕事を思い浮かべた途端に胃がムカムカする——。そんな経験を繰り返している方は少なくないのではないでしょうか。病院で胃カメラを受けても「特に異常はありません」と言われ、処方された胃薬を飲んでもスッキリしない。それでもストレスを受けるたびに胃は反応してしまう。この「検査では異常なしなのに、ストレスで胃が痛い」という現代病の正体を、今日は東洋医学の視点から読み解いていきます。結論からお伝えすると、東洋医学ではこの状態を「肝胃不和(かんいふわ)」と呼び、胃そのものよりも感情を司る臓の乱れとして捉えます。

西洋医学ではどう考えられているのか

現代医学では、ストレスによる胃の不調は「機能性ディスペプシア」や「神経性胃炎」と診断されることが多い症状です。仕組みとしては、精神的ストレスが自律神経のバランスを乱し、胃酸の分泌過多や胃の蠕動(ぜんどう)運動の異常を引き起こす、と説明されます。治療としてはPPI(胃酸を抑える薬)、消化管運動機能改善薬、抗不安薬などが使われ、加えて「ストレスを溜めないように」「規則正しい生活を」というアドバイスが添えられます。

しかし多くの方が経験されているように、薬を飲んでいる間は楽でも、やめるとぶり返す。そして何より、「ストレスを溜めるな」と言われても、現代社会で生きている限り溜めずにいるのは不可能です。ここに西洋医学的アプローチの限界があります。

東洋医学が見る「肝胃不和」——胃痛は胃だけの問題ではない

東洋医学には「肝(かん)」という概念があります。これは西洋医学でいう肝臓そのものではなく、気(エネルギー)の流れをスムーズに保ち、感情をコントロールする働きを担う存在です。イライラ、怒り、プレッシャー、緊張——こうした感情を受け止めるのが、この「肝」です。

そして肝は、木が土を押さえつけるように胃(東洋医学では「脾胃」と呼びます)を制御する関係にあります。これを五行論では「木克土(もっこくど)」と言います。

ここで問題が起きます。ストレスが続くと、肝の気の流れが滞ります。これを「肝気鬱結(かんきうっけつ)」と呼びます。ガス欠ではなく、交通渋滞のような状態です。滞った気はやがて行き場を失い、木が暴れて土を攻撃するように、胃へと押し寄せていきます。この状態が「肝気犯胃(かんきはんい)」、すなわち肝胃不和です。

この視点に立つと、なぜ胃薬が根本的に効かないのかが見えてきます。痛んでいるのは胃ですが、暴れているのは肝だからです。胃をなだめるだけでは、元栓は閉じられません。だから「ストレスで胃が痛い」という悩みは、感情の出口が詰まっているサインとして読み解く必要があるのです。

肝胃不和のサインは胃痛だけではありません。ため息が増える、脇腹が張る、喉に何かが詰まった感じがする(梅核気)、げっぷやガスが多い、食欲にムラがある。これらが揃っていたら、まさに肝の気が滞っている状態と考えられます。

今日からできる養生法——「流す」「緩める」「温める」

肝胃不和の養生は、薬でねじ伏せるのではなく、滞った気を流し、張りつめた身体を緩めることが基本です。

1.深呼吸で横隔膜を緩める ストレスを感じている時、呼吸は必ず浅くなっています。鼻から4秒吸い、口から8秒かけて細く長く吐く。これを朝晩3分ずつ。吐く息を長くすることで副交感神経が優位になり、肝気が動き出します。

2.香りのある食材で気を巡らせる 肝気鬱結には「理気(りき)」の食材、つまり気を巡らせる香り高い食材が効きます。みかんやゆずの皮、しそ、三つ葉、春菊、セロリ、ミント、ジャスミン茶など。特に4月の今、旬の春菊や三つ葉は理気食材の代表格です。温かい味噌汁に刻んで散らすだけで、立派な養生食になります。

3.胃を冷やさない、胃を働かせすぎない 肝に攻撃されている胃は、すでに疲弊しています。冷たい飲み物、生野菜、遅い時間の食事は避けてください。朝はお粥や具だくさん味噌汁など、温かくて消化の優しいものを。夜はできれば20時までに食事を済ませ、胃を休ませてあげましょう。

4.「合谷(ごうこく)」と「太衝(たいしょう)」を押す 手の親指と人差し指の付け根にある合谷、足の親指と人差し指の骨の間を辿った窪みにある太衝。この二つを合わせて「四関穴(しかんけつ)」と呼び、気の巡りを改善する代表的なツボです。痛気持ちいい強さで、片側1分ずつ。1日に何度でも。
絵のセンスは…………..ごめんなさい。

5.夜、空を見上げる これは私自身がおすすめしている習慣です。夜、窓を開けて空を見上げる。たった30秒でいい。視線を上げる行為そのものが、うつむきがちな気を上へ動かすのです。肝の気は、上へ伸びていきたがる木の性質を持っています。物理的に視線を上げることは、そのまま養生になります。

まとめ——「胃を治す」のではなく「気を整える」

ストレスで胃が痛いという現代病は、胃の病気ではなく感情の通り道が渋滞している合図です。だから、目指すのは「治す」ではなく「整える」こと。胃をなだめる前に、肝の気を流してあげる。食材と呼吸とツボで、少しずつ滞りをほどいていく。薬を否定するものではありません。ただ、薬が効かない痛みにこそ、養生の知恵が寄り添えると私は信じています。ストレスはゼロにできませんが、受け流す身体は作れます。


※本記事は東洋医学の考えに基づく養生の知恵を紹介するものであり、医療行為の代替を推奨するものではありません。症状がある方は必ず医療機関を受診してください。


ストレスで胃が痛い・息が浅い——阿久沢先生に学ぶ「内臓を緩めるツボと呼吸法」

新年度が始まって数週間。新しい環境、新しい人間関係、慣れない仕事……。気づけば胃がキリキリする、肩が耳まで上がっている、呼吸が浅くなっている。そんな自分に気づいたことはありませんか?

「ストレスは気持ちの問題だから、気の持ちようで何とかなる」——そう思って我慢していませんか? 実は、ストレスがいちばん最初に現れるのは、心ではなく「身体」なのです。

西洋医学が見る「ストレスと身体」

西洋医学では、ストレスによる身体症状は「自律神経の乱れ」として説明されます。交感神経が優位になりすぎることで、胃酸の分泌異常、筋肉の緊張、血圧の上昇などが起こる。治療としては、抗不安薬や胃薬が処方されることが多いでしょう。

もちろんそれも大切なアプローチですが、「薬を飲んでも、またストレスを感じるとすぐ戻ってしまう」という経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

東洋医学で見る「ストレスと内臓」——肝と脾の関係

阿久沢先生は、ストレスによる身体の不調をこう説明されます。

「ストレスで最初にダメージを受けるのは**肝(かん)です。肝は気の巡りを司る臓器。ここが詰まると、気滞(きたい=気の流れが滞った状態)が起こります。そして肝の気が暴走すると、隣にある脾(ひ=消化吸収を司る臓器)を攻撃してしまう。これを東洋医学では肝脾不和(かんぴふわ)**と呼びます」

つまり、ストレス→肝の気滞→脾への攻撃→胃腸の不調、という流れが身体の中で起きているのです。胃が痛いからといって胃だけを治しても根本解決にならないのは、このためです。

さらに、気滞が続くと呼吸も浅くなります。呼吸が浅くなれば全身に気が行き渡らず、だるさや頭のモヤモヤ感にもつながっていきます。

今日からできる「内臓を緩める」3つの養生法

阿久沢先生が教えてくださった、ストレスで固まった身体を緩めるための具体的な方法をご紹介します。

①「太衝(たいしょう)」のツボ押し——肝の気を巡らせる

場所:足の甲、親指と人差し指の骨が合流する手前のくぼみ。

やり方

  1. 親指の腹をツボに当てます
  2. 「痛気持ちいい」程度の圧で、ゆっくり3秒押して3秒離す
  3. これを左右それぞれ5回ずつ繰り返します
  4. 朝と寝る前の1日2回が目安です

阿久沢先生いわく、「太衝は”肝の原穴(げんけつ)”といって、肝の状態がダイレクトに反映されるツボ。ストレスが溜まっている人は、ここを押すとかなり痛く感じるはずです。痛みが和らいでくれば、肝の気が巡り始めたサインです」。

②「中脘(ちゅうかん)」への手当て——脾胃を温めて緩める

場所:おへそとみぞおちのちょうど中間点。

やり方

  1. 仰向けに寝て、両手のひらを重ねて中脘に当てます
  2. 押し込むのではなく、手のひらの温もりをじんわり伝えるイメージで
  3. そのまま2〜3分、ゆっくり呼吸しながら手を当て続けます
  4. 食後すぐは避け、空腹時や就寝前がおすすめです

「押す」のではなく「温める」のがポイントです。ストレスで冷えて固まった脾胃を、手の温かさでそっとほどいてあげるイメージで行ってください。

③「四七(しひち)の呼吸法」——気の巡りを整える

阿久沢先生が患者さんに最もよく指導されるという呼吸法です。

やり方

  1. 楽な姿勢で座り、目を軽く閉じます
  2. 鼻から4秒かけてゆっくり吸います(お腹が膨らむように)
  3. 7秒かけて口からゆっくり吐きます(お腹がへこむように)
  4. これを5〜10回繰り返します

「吐く息を長くすることで副交感神経が優位になり、肝の気が自然と降りていきます。東洋医学的に言えば、上に昇りすぎた肝気を下に降ろす作業です。頭に血が上った感じ、イライラ、肩こり——これらはすべて気が上に溜まっている状態。呼吸で下に降ろしてあげましょう」と阿久沢先生は話されます。

まとめ——ストレスは「我慢」ではなく「身体から整える」

ストレスへの対処というと、つい「考え方を変える」「気にしない」といった精神論に向かいがちです。しかし東洋医学の視点では、ストレスはまず身体に現れ、身体から整えることができるもの。

今日ご紹介したツボ押し、手当て、呼吸法は、どれも特別な道具は要りません。通勤電車の中で太衝を押す、寝る前にお腹に手を当てる、会議の前に深い呼吸をする——そんな小さな養生の積み重ねが、ストレスに負けない身体を作っていきます。

「治す」のではなく「整える」。今日の帰り道、まずは一つ、試してみてください。


※本記事は東洋医学の考えに基づく養生の知恵を紹介するものであり、医療行為の代替を推奨するものではありません。症状がある方は必ず医療機関を受診してください。

▶ なぜ私が養生を語るのか

WordPress.com Blog.

ページ先頭へ ↑