運動部の学生が疲れを溜め込む秋に——東洋医学の「気血」で考える、指導者と大学ができる疲労管理とコンディション支援

秋の運動部で「疲れが抜けない学生」が増えていませんか?

後期が始まり、秋季リーグや新人戦、学内行事が重なる10月。運動部の学生が「練習のあとに疲れが抜けません」「最近よく寝ているのに朝からだるいです」と話す場面はありませんか。スタメンから外れまいと無理を重ねる学生、けがを言い出せない学生、授業と練習の両立で食事が後回しになる学生。指導者や学生支援の担当者として、どこまで休ませてよいのか迷うことも多いと思います。

こうした疲れは、本人の根性や自己管理の問題とは限りません。季節の変わり目という身体の負担が大きい時期に、練習量と生活の乱れが重なって起きる自然な反応でもあります。まずは「頑張っているからこそ疲れている」という前提から、学生を見ていきたいところです。

運動部の疲労管理は「練習量と休養のバランス」が常識

一般的なスポーツ医学では、疲労は練習負荷と回復のバランスで考えられています。睡眠、栄養(特にたんぱく質と糖質)、水分補給、練習量の調整が基本です。血液検査や診察で貧血や内科的な異常がなければ「オーバートレーニング気味なので休養を」と助言されることが多いでしょう。

ただ、現場では「休めと言っても休めない」「検査は異常なしなのに調子が戻らない」という学生が少なくありません。数値に表れにくい不調を、もう少し細やかに捉える視点があると、声かけの幅が広がります。

東洋医学の視点:疲れは「気」と「血」の消耗、そして「脾」と「腎」の疲れ

東洋医学では、身体を動かす力のもとを「気(き)」、身体に栄養を運ぶものを「血(けつ)」と呼びます。激しい運動は気血を大きく使うため、補給と休息が追いつかないと「気虚(ききょ)」、いわば身体のガス欠状態になります。

気血を作る中心は「脾(ひ)」、つまり消化吸収の働きです。食事が不規則だったり冷たいものや甘いものに偏ったりすると、脾が弱って気血が十分に作られません。さらに、睡眠不足や練習の積み重ねは「腎(じん)」、生命力の貯金を削ります。腎が消耗すると、腰やひざのだるさ、疲れの抜けにくさ、けがの治りの遅さにつながると考えます。

秋は乾燥が強まる季節でもあり、汗で失われた潤い(津液・しんえき)が不足すると、のどの渇きや肌の乾き、寝つきの悪さが出やすくなります。「頑張りすぎる人ほど気血が足りなくなる」ことを、学生にも指導者にも共有しておけると安心です。

具体的な養生法

大学・指導者ができる支援策

  • 声かけの例:「最近どう?」よりも「朝は起きられている?食事は何を食べた?」と、生活の具体を尋ねると答えやすくなります。「休む勇気も練習のうち」と、休養を肯定する言葉も添えてください。
  • 練習の工夫:試験前後や季節の変わり目は、強度を落とす日をあらかじめ組み込みます。練習後の補食(おにぎり、バナナ、温かい汁物)を時間に組み込むのも有効です。
  • 食の支援:学食で温かい汁物や雑穀ご飯、鶏肉・卵・豆腐などのメニューを増やす、部の栄養講座を開くといった企画が考えられます。
  • 連携:けがや痛みの訴え、体重の急な変化、強い落ち込みが見られる学生は、保健センター・学生相談室・スポーツドクターや医療機関につなぎましょう。気分の落ち込みが強い、長く続く学生は、早めの相談が大切です。

学生に伝えられるセルフケア

  • 食事:冷たい飲み物ばかりを避け、練習後は常温か温かい飲み物を。コンビニなら、おにぎり+味噌汁+ゆで卵が低コストで脾にやさしい組み合わせです。
  • 睡眠:就寝前のスマホを控え、同じ時間に寝ることを優先します。
  • ツボ:ふくらはぎの「足三里(あしさんり)」(ひざのお皿の外側下から指4本分下)を、湯船の中でゆっくり押すと脚の疲れが和らぎやすいといわれます。「湧泉(ゆうせん)」(足裏の土踏まずの上あたり)をもむのもおすすめです。
  • 呼吸:お腹に手を当て、4秒吸って6秒かけて吐く呼吸を5回。練習後や寝る前に行うと、気持ちが落ち着きます。

まとめ:疲れを「根性」ではなく「サイン」として受け取る

運動部の疲労は、気血の消耗という身体からのサインです。無理に治すのではなく、食事・睡眠・休養で整えていく。その姿勢を指導者や大学が示すことが、学生が不調を言い出しやすい環境づくりにつながります。強い痛みや長引く不調は、迷わず医療機関へつないでください。

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※本記事は東洋医学の考えに基づく養生の知恵を紹介するものであり、医療行為の代替を推奨するものではありません。症状がある方は必ず医療機関を受診してください。

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